Jim O’ Rourke と Gaman Gilberto
灼熱の天国にシンプルな歌
暑い!
フジロック3日目、フィールド・オブ・ヘヴンは灼熱の日差しが降りそそぎ、気温はかなり上がっていた。いるだけで汗が流れる。始まる前は軽快なカントリーが流れていて、涼しげではあるが、気温はそれを上回るのでいかんともしがたい。
その真っ昼間、ジム・オルークとバックバンドが登場する。キーボードに石橋英子、ベースに須藤俊明、ドラムスに山本達久、ヴァイオリンに波多野敦子というおなじみに面々である。この「ガマン・ジルベルト」というふざけたバンド名(他にもレッド・ゼツリンとかマエバリ・ヴァレンタインとか下ネタのダジャレをつけるのが好きらしい)に反し、でてきた音は誠実そのものだった。
まずは「Friends With Benefits」から始まる。繊細さを感じさせる、セミ・アコースティック・ギターによる音色と内向的なヴォーカルで、まさに新しいアルバムのタイトル通りの「シンプルな歌」を聴かせてくれる。
ジムはジーンズのパンツにシャツ、帽子といういでたち、「人見知りっぽいのに、いろんな人とたくさん仕事しているので、どうやって人付き合いをしているのか謎なミュージシャン」第1位(2位以下は知らない)のイメージ通りの風貌であり、言動だった。
百戦錬磨のミュージシャンたちのサポートを得て、繊細さも、ラウドに盛り上げるところも、スケールの大きさ感じさせる音像を作り上げるのも自在だった。激しく音を出しあい、ギターが唸り、ヴァイオリンが叫び声をあげるところなんかはROVOとかその周辺の音が好きな人にはたまらないものになっただろう。
山本達久を「Tシャツなしのドラマーの歴史に反する」とかいじったり、「15年前に初めてフジロックにでた」と語ったり、日本在住も長いので、最後に長く話をしていた。最後は「Hotel Blue」。スローで静かな歌からはじまり、ジムの思った以上によく通る声が大きく響くサビの激しさがドラマティックに盛り上がり、灼熱のヘヴンを包んでいった。