シーナ&ロケッツ
これからも走り続ける
今年で結成37年を迎える、シーナ&ロケッツ。フジロックには、98年からコンスタントに出演し、今回は2年ぶりとなる。ただ、今年は、シーナ(Vo,Tab)はいない。35周年を記念した日比谷野外大音楽堂でのワンマン・コンサートを最後に、今年の2月、病で他界してしまったから…。でも…始まるまでそう思っていたけれど、フィールド・オブ・ヘブンに着くと、「WE LOVE SHEENA FOREVER」という旗を振っている人がいたり、なんだろうか、すでに気配が感じられる。いや、感じたい、と言うべきだろうか。
鮎川 誠(Vo,G)、奈良敏博(B)、川嶋一秀(D)がステージに登場。ふとステージを見渡すと、シーナの定位置にはマイクが立てたままであることに気付く。あぁ、やっぱり気配を感じてもいいんだよね…と、そう思わせてくれるようだ。そして、ライヴは、“BAN BOU BAN BAN”や“ホラ吹きイナズマ”など、定番のナンバーからスタート。のっけから骨太なサウンドでグイグイと観客を惹き付け、さらに、その聴き手のテンションを一瞬にして上げてしまう。この瞬発力、いやはやすさまじいものがある。しかも、鮎川がソロを弾けば、もうその場の観客の熱が容赦なく高まっていく。最大値ってものはないのではないか?と思うほどに。
「シーナ&ロケッツとして37年目。ずっと同じことをやっておるけど、今年シーナが亡くなってしまって。シーナとは出会って44年ずっと一緒にいた。出会いも突然だったけど、別れも突然だったね。今日ここにシーナはいないけど、でも、シーナをここに連れてきているから。魂、スピリットを感じてもらって」。その言葉に、ストンと気持ちが腑に落ちた。みんな、同じ気持ちでここにいる。
そして、「去年の7月に僕たちは、シーナと新しい音源を作りました。最高に気に入っている。自画自賛」と言った後、オリジナル・アルバム『ROKKET RIDE』からの楽曲を。3人ということを感じさせない、厚い音に幾度となくグッときてしまった。次いで、2010年のフィールド・オブ・ヘブンでのステージが記憶に新しい(あの時、復活を待ちわびた往年のファンがどれだけ喜んだことだろうか)、サンハウスから“爆弾”も披露。言うまでもなく、曲が始まるやいなや、大歓声である。
終盤には、“ピンナップ・ベイビー・ブルース”や“レモンティー”を。そして、「1日目のレッド・マーキーで、MANNISH BOYS(斉藤和義×中村達也)がカヴァーして歌ってくれました」と、“ユー・メイ・ドリーム”も。曲が進むにつれ、色々な思いが巡り、やはりどうしても目頭が熱くなってしまってならなかった。あまり難しいことは考えず、ただただ、楽曲を通して、彼らとしっかり対峙していたい。そんな思いでいっぱいだった。最後には、鮎川の「いつもはシーナの〈アイラブユー! 〉というコールで始まるんだけど、今日はみんなが言ってくれる?」 という言葉から、その場にいるみんなが一斉に声を合わせて〈アイラブユー〉と。もう堪えきれず、ボロボロと零れ落ちる涙を拭う観客も…。でも、彼らは普段とあくまで変わらず。ラスト曲終わりのメンバー紹介時には、「アンド、シーナ!」とも言っていたのが印象的だった。これからも走り続ける。そう身を持って全力で示してくれたライヴ。心から本当に嬉しかった。