HUDSON MOHAWKE
ホワイトを揺らした近未来サウンド
今年の6月に6年ぶりとなる新作アルバム『Lantern』をリリースしたプロデューサーのハドモーことハドソン・モホークが、フジのホワイトステージに登場する。音響環境が素晴らしいと評判で、数々の伝説的なステージを演出してきたこのホワイトなら、ハドモーの唯一無二なサウンド世界を特別なものにしてくれるに違いない。そう期待を抱いたファンも多かったのではないだろうか。3日目の夜を迎えたホワイトステージ前に多くの観客が集まり、ハドモーの登場を待っている。ステージ後方の空には、雲間に輝く月が見えていた。
照明が消えるとステージ上方にあるスクリーンに、ドナルドのようなピエロが雪の中を必死で走る映像が映し出された。走り抜けた先で「HUDSON MOHAWKE」のネオンに明かりがつくと、ステージに本人が登場した。ドラム、シンセサイザーを担当する2人のサポートミュージシャンと3人構成でライヴがスタート。太い重低音がホワイトに響き渡る。ハドソン・モホークのサウンドは、昨今のEDMとは確実に違うタイプのダンスミュージックだ。ヒップホップとレイヴミュージックをベースに、独自の進化をさせた近未来エレクトロとでも言ったらいいだろうか。類稀なセンスが光るトラックを紡ぎ出しながら、真剣な表情で機材に向かう姿を見ていると、この人は真の音職人だなぁと思う。最新ヒット曲“Scud Books”や“Lil Djembe”、“Shadows”など『Lantern』の収録曲を中心に、自身のユニット、TNGHTの“Gooo”や“Higher Ground”、前作『Butter』から“Chimes”などをプレイ。次の曲のイントロがかかる度に歓声を上げるあたり、本当にハドモーが聴きたくて集まってきた観客ばかりなのが伝わってきた。
時折、感謝を示すように観客に向かって拍手をする仕草を見せていたハドモー。アルバムでも最後を締めくくる“Brand New World”でラストを迎えると、じわじわと胸の奥から感動が湧き上がってきた。この人は既に未来を捉えている。そう感じさせるに十分な素晴らしいライヴだった。