Drakskip
レアな弦楽器、ニッケルハルパがフジ初上陸
夜のジプシーアヴァロンはユルい空気の中で、なかなか普段お目にかかれないバンドに出会える。すでに京都で10年以上活動しているというDrakskipは、スウェーデンのフォークミュージックを本格的に、そして自分たちらしくアレンジしている4人組だ。
これがフジロック初上陸(!?)となる中世から伝わるニッケルハルパという、やたら弦の多い楽器と、珍しい5弦ヴィオラが、間断なくメロディを紡いでいく、まるでメロディの川を流れていくような曲でスタート。うわうわ、なんだこの体感は?メロディ楽器の主張が強い分、アコギはパーカッシブなアレンジになっていて、シンプルなパーカッションとともにビートを奏でている印象だ。
パーカッションの渡辺がMCで「普段、僕らカフェやレストランとか静かなところで活動してるんですが、今日はみんな踊ってくれてて、これが本来の姿なんです」と、喜びとオーディエンスの称賛という一石二鳥な話芸を展開。この人がなかなかうまくて、ラストまで引っ張られた感じも。
つくづく合奏が楽しいのはどんなジャンルでも同じだよな、と先ほどONE OK ROCKを見たばかりの同じ人間が思うのだから、音楽は最高のコミュニケーションだ。
もちろん、弦二台でアコースティックな編成と言えば、アイリッシュの匂いがするナンバーもあり、その辺りから前方でダンスする人がどんどん増えていく。もともとロマの生活や表現手段と切り離せないのがバイオリンなどなわけだから、そうした自由な楽団のムードも漂うわけだ。
メンバー紹介とともに、なんとこんなにフジロック初出演で盛り上がったというのに、この後、1年活動休止するという報告に、この日初めて見たオーディエンスも何故か残念がる。が、その理由はニッケルハルパの榎本と、5弦ヴィオラの野間が本場スウェーデンに留学し、さらに腕を磨いてくるからだそう。がぜん、引き続き彼らのライブを見てみたいと思わせる渡辺のステージ運びの巧さ…。
「僕らマジメなんで時間内に曲が終わっちゃったので、3分で収まる曲をもう1曲やります。さぁ最後の3分で踊りまくって楽しんでください!」、そして「あと30秒で終わりますよ!」と、後方のお客さんまで巻き込んだショーマンシップにもまんまと乗せられてしまったのだった。