PSYCHEMAGIK
パーティー・ピープルを唸らせる必殺のセレクト
深夜2時半過ぎ、セイホーのセットが終わり、SUNDAY SESSIONも残すところ2アーティストのみとなってしまった。いよいよ今年のフジロック終演の足音が近づいてきた。毎年、この時間帯に入ると寂しくてしょうがなくなる。
さて、セイホーに続いて登場するのは、ロンドンのサイケマジック。ダニー・マクレウィンとトニー・カヴニーの2人組によるプロジェクトで、フリート・ウッドマックやトニー・ジョー・ホワイトなど、数々の卓越したリエディットをSOUNDCLOUDで発表し、彼らのリエディットをジャイルズ・ピーターソンをはじめとした高名なDJたちがプレイしたことで有名になった。また、彼らは熱心なヴァイナル・ディガー(レコード掘り師)として知られており、自慢のレコード・コレクションから厳選したレア楽曲集も発表している。
一人の男がステージに登場した。あれ?二人じゃないのか…。詳細なプロフィールが伏せられているため、ダニーとトニーのどちらなのかがわからない。昨年末のサイケマジック来日時にはダニーが回したみたいなので、恐らくあれはダニーなのだろう。
Michael McLardyの”Thoughts Of You”の重たく不穏なビートからスタートだ。スピーカーから出力される音圧に圧倒される。Mia Doraの”Un.sub”へつなぎ、ビートの抑揚が効いたトラックでフロアの熱を徐々に上げていく。
お次は、重たくかつロックな8ビートで突き進んでいくRed Axesの”Kicks Out Of You”をセレクト。この手のロッキン・ビートは大好物だ。しばらくリピートしていてほしいほどくせになる。フロアの老若男女もガンガンにダンスしているのだ。
中盤に差し掛かると、Auntie Floの”Daabi”でアフリカンな質感を、Dude Energyの”Renee Running”ではエキゾチックな質感を醸成して流れにスパイスを加えてくる。
“What A Funky Night”とMaster C and Jの”Can’t Get Enough”で一昔前、70年代~80年代初頭のディスコにタイムスリップさせ、続くクラフトワークに近いレトロ感が漂うMark Eの”Plastic People”からRetro/Gradeの”Zoid”の流れで濃紺に染まるステージにスモークがガンガンにたかれ怪しくサイケデリックな空間に一変させるのだ。
そして、満を持してフリートウッド・マックの名曲”Dreams”を料理した甘美なディスコエディットを投下した。大音量にして、大音圧の環境下で、しかも苗場でみんなで聴くこの曲はひと味もふた味も違う。疲れた体を優しく包み込んでくれるかのようなメロディと流麗なビートがめちゃめちゃ心地良い。ステージ脇にいるスタッフたちを含め、会場のみんながビートに身を任せている。
“Dreams”が鳴り響く中、ラストの石野卓球がステージ下に登場し機材の準備にかかる。卓球の準備完了まで数曲つないで、セットの幕引きを行った。さぁ、いよいよ石野卓球が登場だ!最後の最後まで踊りまくれ!!