チャラン・ポ・ランタン
デビュー当時と同じ規模のステージで
カンカンバルカン(バンド)を率いたレッドでのステージに引き続き、岩盤スクエアにチャラン・ポ・ランタンが登場。今回は、アコーディオン弾きの姉・小春と、妹・もものみの編成だ。
チャランポ結成のきっかけは、かつて小春が率いていたバンド、マイノリティ・オーケストラにて、彼女が初めて歌詞つきの曲、”親知らずのタンゴ”を創ったことに端を発する。小春がそのいきさつを話す時「たまたま暇そうなのがそばにいたからステージで歌わせた」というのが常なのだが、ゴールデン街で流しを経験し、当時からプロとして活動していたのが小春。無意識ながら「先見の明」もあったのだろう。その「たまたま」が大きく成長した結果、前夜祭を根こそぎ揺るがすほどの力をつけたのだった。
なぜに過去の話を持ち出すかといえば、姉に連れ出される形で妹・ももがデビューした当時のステージとほぼ同じ大きさに感じたからだ。筆者は「踊ろうマチルダ」との繋がりで、偶然その場に居合わせていた。実は、ももの歌を聴いた者は、みな一様に驚いていた。「コブシらしきものを効かせて歌う高校生が出てきた」とザワザワしていたのだ。
これはまだ、小春の妹ということさえ明かされていなかった頃の話。ももは当初、「宇宙からやってきた女の子」という設定で、アメちゃんを配り、「あまりにも挙動不審だから」とブタを小脇に抱えさせられていた。もものトレードマークとなっているブタは、当時のなごりである。
当時のももは、周りが大人ばかりで緊張していたせいか、ステージを降りれば誰とも目も合わすことができなかったけれども、今はどうだろう、実に堂々としている。化粧も覚えて、単色のワンピースだった衣装がサテンでつくられたタマネギのスカートになったりと、見た目はかなり派手になったが、ステージに立てば、いつでも新鮮な驚きを与えてくれる才能豊かな歌手だったのだ。
当時と同じ大きさのステージで、しかし当時とは比べものにならない胆力で歌いあげた”お祭りマンボ”と、”ムスタファ”。突然襲ってきた豪雨の中にあって、実に多くの人を踊らせ、「チャラン・ポ・ランタン」という姉妹デュオの底力を見せつけられたのだった。