LIVE REPORTRED MARQUEE7/27 FRI
ミツメ
5年ぶりのフジロック、ミツメの進化
初日のレッドマーキー2番手は、ミツメ。彼らは、Homecomingsや溺れたエビの検死報告書と同じ2013年ルーキー・ア・ゴーゴー出演経験者。フジロックには5年ぶり、初のメインステージへ。2016年にはアメリカ、2017年には中国にてツアーを行うなど、海外へ進出をすすめているタイミングでの出演となった。
1曲目“天気予報”で須田洋次郎(dr)のカウントが始まると、他メンバーの音がわっとあふれ出し、ストンと整っていく。ミツメといえば、極限までシンプルかつ冷静なトーンを維持した音楽性で、感情は表面に出さないストイックな姿勢を持ったイメージ。しかし本曲の川辺素(gt,vo)の歌声は、いつもより熱がこもっていて、前へ前へと向かう姿勢がうかがえる。いつも通りにみえて少し違ったその歌ぶりに、5年ぶりのフジロックへの確かな興奮を感じとった。「今日は一緒に楽しみましょう」とMCはさっぱり。続いて“あこがれ”ではナカヤーン(bs)のしなやかでトリッキーなベースが前面に乗り出し、会場はダンサブルな雰囲気に包まれた。
続いて“漂う船”、“ジンクス”と続く。4小節に1回訪れるフィル部分――いわば音の「きっかけ」をガシッと掴んで確かに鳴らすアンサンブル力の高さ。ほしい部分に音を当ててくる隙のなさ。これぞ、ミツメ!という部分をたっぷりと見せてくれた。曲終盤は、川辺のメロディラインに大竹雅生(gt,syn)の音が絡み合い、リヴァーヴがかって歪んでいき、平然と元に戻っていくという展開も。照明が青っぽくなって、“ブルーハワイ”、新曲“セダン”などを披露し、以降3曲をメドレーのように披露。水しぶきのごとくダイナミックなドラミング、甘酸っぱいコーラスワークをみせた“disco”は、フジロックの初日にふさわしいサマー・チューンであったし、“煙突”は、レッドマーキーを吹き抜けるさわやかな風とともに、ちょっぴりセンチメンタルな気持ちにさせてくれた。そして“エスパー”。ミツメ史上最高にメロディアスなサビ、甘い柑橘の香りがただよってきそうな爽やかなギターリフが印象的だ。しかし、最後にはオルタナティブな鳴らし方にアレンジするなど、発見に満ちた1曲だった。
直近のアルバム~現在までを中心としたセットリストや、“エスパー”での彼らをみていても、彼らの音楽の形は依然として変わらなく、「ミツメ」というブランドを確立し続けていると思う。5年前と大きく違うのは、エネルギーの発信力。先に述べた川辺の歌声にあるような、あふれんばかりの演奏に対する情熱や、オーディエンスがより驚くようなアプローチの仕方は、ルーキーステージの頃とは確実に違っていた。それはさらに研ぎ澄まされていってほしいし、進化した彼らを会えることも楽しみにしている。
[写真:全10枚]