LIVE REPORTRED MARQUEE7/27 FRI
neco眠る
大阪の至宝、ネバヤン安部ちゃんも迎えて朝一レッドを沸かす!
初日のレッドマーキーは、恒例行事のごとく、朝ごはん中の人もいれば、11時半からすでに泥酔気味の人も、前夜祭でハングオーバーな人もいる。フジロックの始め方は十人十色だ。快晴だがいい風が抜けるレッドマーキーはまだ人もまばら。そんな中、バラバラな個性の6人がステージに現れる。大阪拠点で活動し、今年で結成16周年というから、キャリアの長いバンドだが、彼らの存在はつい去年、never young beachの安部勇磨が敬愛していること、大阪でのライブにソロで共演に行ったりしていることから、自分の中での気になる存在の順位を上げて行ったバンドだ。
いわゆる細野晴臣が確立したエキゾチカのメロディラインも感じさせつつ、楽器の編成はポストロックやマスロックをも通過してきた印象がある。“お茶”とタイトルされたオープニング曲はタイトルこそのんびりしているもののツインギターの手弾きのアルペジオがループを作り、一人、高専生のようなシンセ担当のBIOMANがいい違和感を生み出している。日本家屋とスペイシーが共存しているムード。まぁ、考えてみればそれが我々日本人のライフスタイルかもしれない。
ライブが進んでいくと、ギター二人は単音でギターっぽくないフレーズを弾き、それがアンサンブルを作る。リズム隊の二人は陽気なキャラというか、ベースの伊藤コーポレーション(株)はレッチリのフリーか歌舞伎役者かという身体能力とオーディエンスの扇動力で、初見のお客さんもどんどん巻き込んでいく。そして鍵盤の二人は淡々と研究するように楽器に向かい、キーボードのおじまさいりはピアニカなども操り牧歌的、BIOMANは研究者っぽい。こんな6人を見ているだけでも楽しいし、当たり前だが音楽は人間が作るもので、この6人にしか鳴らせない音楽にどんどん引き込まれていくのが自分でもわかる。
三連のリズムがミニマルな“すごい安い肉”(トリプルファイヤーみたいなタイトルだな)のダンスミュージック感もユニークだし、時にハウスのようにも聴こえる演奏の自由度が楽しい。存外パワフルな演奏に驚いていると、嬉しいことにゲストボーカルを招き入れ、それが安部勇磨だとわかった時のオーディエンスの沸きっぷり。心地よいバリトンボイスはもとより、彼が登場するだけで醸し出されるピースフルでニュートラルなムードは代え難い。もう一人のゲストボーカルはAnd Summer Clubのオオオトトキヨ。バンドは明日の苗場食堂にも登場するのでチェックしてみたい。
大団円のお囃子ビートの“ENGAWA”の頃には小学中学年ぐらいの女の子が前方まできておそらくお母さんなのだろう、一緒にステップが止まらない様子で踊っていたのが印象的だったし、それがneco眠るを象徴していた。気づくと後方までお客さんが詰め掛けたレッドマーキー。サプライズゲスト共々、一発目からいいライブでいいスタートを切れた。
[写真:全10枚]