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FUJIROCK EXPRESS 2018

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LIVE REPORTRED MARQUEE7/28 SAT

シャムキャッツ

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© Photo by MASAHIRO SAITO© Text by 石角友香

Posted on 2018.7.28 15:43

猛暑をリセットしてもう一度、夏をここから始めよう

小雨が降ったり日が差したりの2日目。10時20分スタートという早い時間にも関わらず、レッドマーキーにはフジロック初出演のシャムキャッツを待ち望んでいたファンが集まってきた。照明のないステージに出てきた4人は並んで軽くお辞儀すると、歓待の声がそこここで上がる。「いいね!声出して行こう!」という夏目知幸(Vo / Gt)は気合十分だ。

菅原慎一(Gt/ Vo)の輝度の高いギターが鳴るだけで、今年の猛暑が一旦リセットされ、ここから私たちの夏休みが始まるような高揚感に包まれる。夏になると誰かに会いたくなるし、遊びに行くと帰りたくないーー“AFTER HOURS”はなんてフジロックの朝にふさわしい曲だろう。
続く曲もちょっとした躊躇をフラットにして、外に出てみようーー自然とそんな気持ちにさせてくれる“Travel Agency”。夏目の甘さと誠実さがちょうど半々でブレンドされたような声質が、静かな説得力を持ってここにいるみんなの夏をさらに鮮やかなものにしてくれているようだ。夏目の作詞家としての表現は、ままならない日常を過ごす私たちに、例えば“Travel Agency”の一節のように「恋人に触れるように 暗闇に手を伸ばせ」なんてグッとくる描写がある。新しい日々に踏み出すことは勇気はいるけれど、踏み出した先にある温かな気持ちが滲むように聴き手の心に投影される。太陽のような愛というより雲間から差す光のような愛かも知れない。

今まさにフジロックにいる心境に重なるオーディエンスも多いと思うのだが、夏目が「今の気持ちの歌です」と、披露したのは新曲“カリフラワー”。このままがいいということは、裏返せばその刹那が素晴らしく美しいということでもあり、その宝石のような瞬間を少しの悲しさとともに感じさせる。シンプルでいて全ての楽器の一音一音が重要な意味を持ち、最高の出音で届けられる演奏にオーディエンスもビビッドに反応。特に男子たちが甘酸っぱい気持ちに釘付けになっているように見えた。

菅原がボーカルを担当した“Four O’clock Flower”は、彼の繊細なファルセットが情景をより明確にしてくれた。ちなみに菅原のエレキと夏目のアコギを交換しての演奏だったのだが、プレーヤーが違うだけで名器と思しきストラトの音色が違う表情を見せるのも面白かった。

リバーヴィーなギターサウンドがこの上ない夏を運んできたライブの終盤はアッパーな“MODELS”、そしてエンディングでドラムセットに全員近づき息を合わせて大きな波のような音の壁を作り出した“渚”が、聴き手それぞれのこれから来るべき夏の嵐(!?)を祝福するようだった。去り際、「愛してます!」と大きな声で言い放った夏目。この言葉が似合うアクト・オヴ・ジ・イヤーだと個人的には思う。情熱と洗練を見事に同居させたシャムキャッツの今だった。

[写真:全10枚]

#TAGS : 7/28 SATRED MARQUEE

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