MOREFUN - AREA REPORT 7/28 FRI
【フジロック1日目周遊記 後半】
Posted on 2023.7.29 09:47
それぞれのエンターテインメントの形
レッドマーキーのイースタンユースはとにかくツボを突きまくる選曲で泣けた。吉野は「こんな大きなステージでやる身分ではない」といっていたけど、「男子畢生危機一髪」「青すぎる空」「夏の日の午後」と初期作から人気の曲を投入して、レッドマーキーを埋めたお客さんたちは非常に盛り上がっていた。愚直に自身の信じる音楽を演る姿勢をみせること自体が観ている人たちが求めていることだし、バンドも全力で応えていた。
盛り上がりではレッドマーキーのYEAH YEAH YEAHSも凄かった。後ろまでびっちり入ってフロアを埋め尽くしたお客さんたちの反応がすごい。そこへ目玉が描かれた巨大な風船をフロアに投げ入れたり、紙吹雪が舞ったりとお客さんたちを楽しませることは惜しみなくやっている。ヴォーカルを務めるカレンOのキャラクターも相まってメッセージ性とエンターテイメントの理想的な融合をみせてくれたのだった。
NxWorriesは大きなスクリーンの上にDJブースがあってヒップホップやR&B、ソウル、果てはボビー・コードウェルのようなAORまでオシャレな音楽とブラックミュージックの歴史を振り返るようなDJをKnxwledgeは映像付きでみせてくれた。Anderson .Paakはお客さんたちの煽り役としてステージ前を埋め尽くし人たちに腕を左右に振らせたり、スマートフォンのライトを点けさせたり、ステージに大勢の女の子を呼び寄せてダンスバトルみたいなことをやっていた。23時ころにみせたディスコタイムを続けてくれればよかったのにと思ったけど、ハードに踊るより、ゆったりと身体を揺らすスムースなパーティ、といった約1時間15分だった。
そのままところ天国に居残り、「富士映劇」のYELLOW MAGIC ORCHESTRA live at FRF’11を観る。大きなスクリーンに映る2011年グリーンステージでのYMOの演奏をノーカットで体験することができた。高橋幸宏、坂本龍一への追悼ということもあり、大勢のお客さんたちが持参した椅子に座ってスクリーンをみていた。小山田圭吾をはじめサポートミュージシャンの映る割合は少なく、カメラはメンバー3人を平等に過不足なく映していた。当然ながら主役は3人であって動く3人の姿を改めて堪能できる。当時観ていたときは、次のケミカル・ブラザースがゴリゴリのビッグビート/テクノで盛り上げていたので、それに比べるとお上品だったかなと思っていたけど、映像作品として観るとこれくらい緻密さの方がよい。スクリーンを観ていた人たちはスクリーンの中の人たちと同じように拍手を送っていた。ストイックに3人の演奏をみせるだけでエンターテイメントになる。
話題になっていた矢沢永吉のステージも含めて、それぞれのエンターテイメントの形をみせてくれたフジロック1日目の後半だった。