FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/28 SUN

フジロックの多様性(その2)~UKギターロックの歴史を辿る【フジロック3日目まとめ】

  • フジロックの多様性(その2)~UKギターロックの歴史を辿る【フジロック3日目まとめ】

Posted on 2024.7.29 18:25

この日は朝イチで森大翔。まだ20代前半のギタリスト/シンガーソングライターである。JPOPのマナーに則りつつ、ファンク、ブルース、ハードロックを自在に往来して、すさまじいテクニックをみせつけた。すごい才能をみたという感が強い。

グリーンステージではNO PARTY FOR CAO DONGは大勢の人たちが集まって盛り上がっていた。地元・台湾からもたくさん来ているのだろう。こうしたダークでヘヴィな音楽が台湾で人気なんだということを知る。海外で日本のバンドのライヴをみるのは特別感があるけど、台湾からみれば外国の、しかも高原で好きなバンドをみるというのは特別な体験だろうし、その様子をみる我々にとっても特別な経験となる。

来年に解散が決まっていて、これがフジロック最後のライヴとなるESNE BELTZA。スクリーンにはバスク語で「さよなら」という言葉も映っていた。しかし、そうした湿っぽさは一切感じさせず、お客さんたちを楽しませる、踊らせることに徹したステージは圧巻だった。

ESNE BELTZAが終わって急いでアヴァロンに駆けつけて夏川りみの最後2曲だけ観ることができた。BEGINのカヴァーで“島人ぬ宝”、そしてこちらもカヴァーで“花〜すべての人の心に花を〜”。どちらも知られている曲で沖縄らしさが伝わってくる。ちょうど雨が降ってきたところで、夏川りみの美しい歌声は周りを和ませ、癒す。

レッドマーキーへ移動してWEEKEND LOVERS 2024 “with You” LOSALIOS / The Birthdayを観る。レッドマーキーはすごい混雑。最初はLOSALIOSがでてきて中村達也の奔放で豪快なドラムを聴くことができた。さらにミッシェルガン・エレファントの“CISCO”を演奏しレッドマーキー内は大盛り上がり。「シスコ!」の大合唱が起きた。後半はThe Birthdayがでてくる。ゲストヴォーカルでTHA BLUE HERBのBOSS THE MCとYONCEが登場。彼らの歌や演奏、それを見守るお客さんたちからチバユウスケとフジロックのつながりを感じさせたステージだった。

ところ天国の筍亭で昨日に引き続き鈴々舎馬るこの落語を観る。古典落語の「初天神」を現代風に改変。中学受験を控える娘と糖質制限ダイエットをおこなっている父親との話に置き換えて巧みな噺を作りあげていた。自分にとっての前半はここで終了。日本の新進ギタリスト、台湾のポストロックバンド、バスクのジャンルごった煮バンド、沖縄の歌姫、チバユウスケ追悼、落語家……と半日でこれだけのものを網羅しているのはフジロックならではだろう。

そして、ここから後半がUKギターロックの歴史を辿る旅となる。まずは、ホワイトステージでTHE JESUS AND MARY CHAIN。やる気のない感じは彼らの通常運転である。音も小さいし、謎の女、レイチェルはでてくるし(ジム・リードのパートナーらしい)、この気怠い感じこそがシーザス&メリー・チェインなのだ。

レッドマーキーに移動してFONTAINES D.C.。まだ若いアイルランドのバンドである。若いだけあって勢いあるし、新鮮で充実したライヴをみせてくれた。ジーザス&メリー・チェインの枯れた感じとの落差がすごい。お客さんもたくさんいて盛り上がっていた。

続いてRIDEをレッドマーキーで観る。名盤『Nowhere』もう30年以上も前のことなのだ。轟音ノイズが響くのだけど優しく上品なのがRIDEの特徴である。当時を懐かしむ人、新たに体験する人が入り混じって彼らの音に身を委ねていた。

RIDEが終わると急ぎ足でグリーンステージに向かう人がたくさん。NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDSがこの日のヘッドライナーである。THE JESUS AND MARY CHAIN、RIDE、OASIS(NOEL GALLAGHER)とアラン・マッギーのクリエイション・レーベル出身のバンドであり、今さらだけど、クリエーションってすごかったんだと感じる。アラン・マッギーの伝記映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』はイマイチの映画でしたが。話は戻って、ノエルの前半はソロの曲、後半はオアシスの曲と完全に割り切ったセットリストだった。Joy Divisionの“Love Will Tear Us Apart”のカヴァーはマンチェスターつながりということなのだろうか。マンチェスター・シティのロゴを飾るだけでなく、ソロツアーに続いてマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督の半身パネルを持ってきたくらいのマンチェスター愛を感じさせる。アンコールはオアシスの名曲の連打、そしていつものように“Don’t Look Back in Anger”の大合唱で締めくくる。それが3日目のトリがノエルでよかったと感じさせる終わり方であった。もちろんフジロックは別のステージでまだまだ続く。

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