もうすでにフジロック常連となっている、SAKURA CIRCUS。DJ MAMEZUKAのDJが終わり、静かな空間に耳なじみのある女性のナレーションが聞こえてきたと思えば、2本の支柱にロープが引かれ、真ん中には鉄製の椅子に座ったセクシーなお姉さまが鎮座している。これはもう綱渡りでしょう！
お姉さまはロープを持ちながら妖艶に踊り、大胆に足を上げ、そしてロープの上へと乗る。軽々と左右に歩く姿を見ていると、まるでステージ上にだけ重力がないようにも感じられる。上半身でバランスを取りながら重心をしっかりと持ち、片足で歩いたり寝そべったりする姿は、ふと気を抜くと誰でもできてしまいそうな気すらしてしまう（もちろん、そんなことはないとわかっているのだけれど）。なんか、人から醸し出されるセクシーさってどれだけ余裕を見せられるか、大変な一面を見せないようにするか、ということなんだろうな。観客たちの興奮を混ぜ込んだ大きな歓声を聞いていると、そんな風に思ってしまう。
真ん中に置かれた鉄製の椅子を持ち上げるお姉さま。そして、ロープに椅子の2本の脚を乗せようとしている。え？待って？もしかして、そこに座るつもり！？ラテン調の音楽をバックに、お姉さまはやはり余裕をたっぷり見せながら、ロープの上に置かれた椅子に10～15秒ほど座れば、大きな拍手が送られる。今の日本ではサーカスを見る機会は滅多にないけれど、SAKURA CIRCUSのショーを見ていると、今のサーカスってこんなに進化しているんだ、とも思う。前夜「祭」だもん！これから一体何が起こるのか、ワクワクした気持ちが自分から湧き上がってくるのがわかる。

15分という短い時間のなかで、2つもショーを見せてくれるようだった。中央に置かれた少し大きめのテーブルに座る、美しい男女2人が笑顔で手を振っている。トランポリン？それにしてはちょっと小さいような……あ、ローラースケートとか履いてる？そんなことを考えていると、男性が女性を持ち上げて、BGMとして流れる“Don’t Stop Me Now”に合わせて女性が回る回る！男性が女性を支え、遠心力を使ってものすごい速度で回りながら、支えとなる足を片方のみにしたり、上下に動いたりと、曲のとおりにくるくる回る。こんなの止められるわけない！例えば、少し前のラブ・ロマンスの映画で恋に落ちる際の比喩で男女が回るシーンって「あるある」だと思うのだが、それにしても過激すぎじゃない？見ているこちらがドキドキしてしまう……2人が美しすぎるので。女性にだってそれなりの体重があるはずなのに、まるで重さを感じない。美しい金髪を振り乱しながら回る姿に、人間ってそんな形になれるんだ……と思いながら、ステージの中央に熱視線を送る。目、回ってふらふらしないのかな。そんな心配すら杞憂なのはわかっているけれど。
男性が円形の厚めの紐を手に持ったかと思えば、頭から被ってネックレスのように首から下げている。女性が、ジェスチャーで「これ、噛んで回るから！」というと、男性の首に下げられた紐の先を噛み、回転を更に加速させていく。将来的な歯並びが心配になりそうなほど回転し、手を離した瞬間には見守る我々の声も一層ヒートアップしていく。回っている女性に注目してしまいがちだけれど、男性だって首の力だけで女性を支えているだもんね……いったいどれくらいの訓練を積んだら、こんな人間離れした芸を身に着けられるだろう。大きな歓声は、これから3日間の興奮を体現しているようでもあったし、深夜のPALACE AREAで1日3回も（！）見られるSAKURA CIRCUSのショーへの期待値の高さがうかがえるようでもあった。

気になった方は、ぜひインタビュー記事、ショーのレポートを読んで、ヘッドライナー終わりの興奮をSAKURA CIRCUSのショーで更に加熱させたい！