FUJIROCK EXPRESS '26

LIVE REPORT - GREEN STAGE 7/24 FRI

The xx

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Posted on 2026.7.25 08:44

持ち寄って重なった3人と苗場の夜

きっとみんな3人と会える日を心待ちにしていたのだろう。TURNSTILEからHi-STANDARDへと続いた熱狂をほんのり残したグリーン・ステージには、これから登場するバンドへの清々しい期待感が渦巻いている。2017年に同じく初日のグリーントリ前で観たあの日から、次に出演するならヘッドライナーしかないだろうと思っていたThe xx。あれから8年。コーチェラやプリマヴェーラでの素晴らしいパフォーマンスを経て、2026年の苗場ではどんな景色を描いてくれるのだろうか。

ロミー・マドリー・クロフト(Vo / Gt)、オリヴァー・シム(Vo / Ba)、ジェイミー・スミス(Dr / Key)の3人が向き合ったシルエットが映し出され、“Crystalised”からライブはスタート。フロントの2人がユニゾンするボーカルワークや、グラインドするオリヴァーのベースには懐かしさも感じるが、それ以上に驚かされたのはサウンドの生々しい臨場感だった。コーチェラの配信でなんとなく把握していたつもりではあったが、生で浴びる3人のサウンドは想像をはるかに超えていた。慣れ親しんだ“Say Something Loving”や“Islands”も、親密さと同時にひりつくような緊張感をまとい、一つひとつの所作にゾクゾクする。

それぞれのソロワークを経て、自分自身の表現をさらに研ぎ澄ませた3人。以前は互いを補い合いながらかたちづくられる音像が印象的だったが、今のThe xxは違う。確かな輪郭を持った3人のプレイヤーが、あえて再び集まることに意味がある。スリリングにぶつかり合うというより、100を3等分した時に生まれるほんのわずかな余りを、手探りで確かめ合うようなライブセッション。それは親密ではあっても馴れ馴れしくはなくて、互いのパーソナルスペースを尊重しながら、その距離をほんの少しだけ重ね合わせていくような手触りこそ、現在のThe xxだった。

淡い光の中、一音一音を噛み締めるようにロミーが歌う“Angels”。オアシスの方から聞こえてくる喧騒すらも愛おしい、フェスティバルの夜の情感がたまらない。“Night Time”からシームレスに“Sunset”に移行したり、“Fiction”〜“I’ll Take Care of U”〜“Shelter”とつないでみたりと、もはや屋台骨という言葉では収まらない存在感を放つジェイミー。“Infinity”ではほんのわずかなディレイで景色を変え、“VCR”でも間の取り方ひとつで甘美なメロディをさらに引き立てる。決して派手な演奏ではない。それでも鳴っている音も立ち姿も仕草の一つ一つも、すべてがあるべき場所におさまっている。ああ、この感覚こそがThe xxなんだ。

ここまでモノクロを基調とした映像や、ほとんど手元しか映されないジェイミーなど、抑制的な演出でじっくりと熱量を積み上げてきたからこそ、満を持してジェイミーが躍動する“Loud Places”や、ロミーが愛してやまないダンス・ミュージックの歓びを讃えた“Enjoy Your Life”では、気持ちが弾けるってもの。お互いを讃え合うように手を挙げ、「Enjoy Your Life」と口ずさむオーディエンス。ロミーが投げかけるそのフレーズは歌詞というより彼女自身の実感のように響き、それを受け止めながら今しかないこの瞬間を楽しむ僕らの姿があった。

オリヴァーがオーディエンスの中へ飛び込んだ“Wanna”や、“Treat Each Other Right”から“GMT”でも、ジェイミーの研ぎ澄まされたクラブ・ミュージックの感性が光る。一方で、オリヴァーの内省的なトーンや、華やかさを増したロミーのポップネスも自然に溶け合い、すべてがThe xxというバンドの個性へと昇華されていく。慣れ親しんだ楽曲たちがこれほどフレッシュに響くのは、それぞれが積み重ねてきた時間が、そのまま今のThe xxを豊かにしているからなのだろう。

そして“On Hold (Jamie xx Remix)”で高揚感を苗場いっぱいに広げた先に待っていたのは、“On Hold”。思い思いの感情を夜空へ投影するように歌い、笑顔があふれるグリーン・ステージ。“I Dare You”ではオリヴァーとロミーのユニゾンを男女それぞれが歌い返し、The xxにしか生まれない親密な情景がそこにはあった。

そして最後は“Intro”。ギターもベースもシンセも、それぞれが確かな輪郭を持ちながら、不思議なくらいぶつからない。以前なら余白とか引き算と表現していたかもしれないが、今のThe xxはそうじゃない。それぞれの表現を突き詰めた3人が、互いの居場所を確かめ合いながら一つの景色を描いていて、その姿がなにより美しかった。アンコールなんて必要なわけがない。すべてがあるべき場所へと収まり、The xxと過ごした苗場の夜は静かに幕を下ろした。

[写真:全10枚]

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7/24 FRIGREEN STAGEXSUMI