The xx
苗場が作り上げた完璧
今のThe xxがフジロックにでるならば、この時間、このステージ、この天候でなければならなかった。そういう意味で完璧だった。例えば、昼間、灼熱のホワイトステージで彼らを観たら、と想像すると余計に今回の設定が素晴らしかったと感じる。しかも、彼らはレッド・マーキー、ホワイトステージ、グリーン・ステージと順調にステージを大きくしているというのもうれしい(オリヴァーが「フジロック初めて来た」みたいな発言をしていたけど。このステージはが初めてという意味かな?)。彼らの成長の節目にフジロックがあるということが。
始まる前にはブロンスキ・ビートの「スモールタウン・ボーイ」などが流れる。ほぼ定刻の19:20ころグリーンステージにギターのロミー、ベースのオリヴァー、そしてジェイミーが現れる。まずは「Intro」から始まる。シンプルにそぎ落とされた音がグリーンステージという大きな舞台でどう響くか期待と不安があったけど、さすがに世界中で経験を重ねている彼らだけあって全然マイナスを感じさせない。こんなシンプルな音が静謐に響き、違和感なく受け入れられるのは、苗場高原の夜のひんやりとした空気のおかげだろう。
大きなスクリーンに映るオリヴァーの手。指が細長くセクシーに動く様子にやられてしまう女の人もいるのではと思う。さすがにモデルもやっているだけあって立ち姿も美しく、今回のステージをみてさらにファンを増やしたのでは。
The xxは3人の関係性で成り立っていて観ていてうらやましいとすら感じる。幼いころから知っているという3人が醸し出す緊張感と信頼感が絶妙な味をだしていて、完璧な世界を作り上げる。新譜と旧譜からの選曲もバランスよかった。
やはり、前半のじわじわと積み上げていく演奏があってこその後半なんだけど、後半のクライマックスからのアゲぶりには感動すら覚えた。「Shelter」からジェイミーのソロの曲である「Loud Places」をよりダンサブルにして、ロミーとオリヴァーは一旦ステージから去る。そこからジェイミーのDJタイムへ突入、ステージ前に詰めかけた人たちが踊る中、ロミーとオリヴァーがステージに戻り「On Hold」。この男女のすれ違いを歌った歌が、言いようの感情を巻き起こさせ、溢れだし、涙を流させた。歓声もひときわ大きくなる。メンバーからお客さんたちを煽ることもないし、歌えとか手拍子しろということも全くいわないけど、それでも作りだすステージとフロアの一体感。
最後は「Angels」。一旦ステージから去っていたオリヴァーが演奏が始まっているのになかなかでてこなくて、やり直しになった。天然なのかな? 再び静謐でシンプルな曲だけど、深く人の心に根を下ろすような歌。メンバーが去ると、キャンディ・ステイトンの「Young Heats Run Free」が大音量で流れた。