真っ暗な中に設置されたスクリーンは、まるで映像が山肌に映されているように見える。そんな画面では『男はつらいよ』が上映され、傍らでは屋台がまだ元気に営業を続けている。ところ天国は眠らない街になっていた。同じ「眠らない」レッドマーキーとは違ってかなりののんびりムードではあるけれど、予想よりはるかに多くの人が映像に見入っている。寅さんの後は『忌野清志郎クロニクル』。今年もまたここで清志郎さんに会えるのだ。それは眠ってなどいられない。懐かしい映像と、ほとんどが聞き覚えのある曲。映画の中でもキングの元気な姿が見られるのがうれしい。のんびりライヴを観ている感覚になる。
ギラギラした光から離れ、お酒片手にゆったり音と映像を楽しむ。こういうフジの過ごし方もなかなかオツかもしれない。

文：輪千希美