今年、数々のフェスティバルでヘッドライナーを飾り、その勢いにとどまることを知らないミューズ。自分が1stアルバムの「ショウビズ」の”マッスル・ミュージアム”に衝撃を受け熱狂していた頃から月日が経ち、今や世界中から注目されるアーティストである事実は信じがたいもののように思えた。しかしそれは、今日のグリーンステージの一幕により、確信に繋がっていた。
ライブの開始は予定時刻より10分以上押して始まった。始まりは最新アルバム「レジスタンス」から”アップライジング”。グリーンステージは後ろの方までびっしりと人で埋め尽くされ、大歓声と大合唱のもと再び迎え入れた。そしてかき鳴らすスクラッチで始まる”スーパーマッシブ・ブラック・ホール”。ギターボーカル、マシュー・ベラミーのどこまでも高くのびる艶やかな美声が苗場を包み込んだ。夕方の雨は重たい湿気を残していったが、霧に包まれ不気味ささえ感じるステージはぴったりの演出になっていた。
”ニュー・ボーン”で一変して旧曲に。待ってましたとばかりに飛び跳ね、踊り出す人たちの光景がレーザーライトからこぼれた光に映る。この曲を聴いていた当時を思い出しながら、人で埋め尽くされた会場を見るのは圧巻だった。そうかと思えば3rd「アブソリューション」から”ヒステリア”が。攻撃的なベースのイントロが耳にこびりつく。スポットライトを浴びたマシューはここぞとばかりにギターソロを見せつける。そして再び新譜からの”レジスタンス”。選曲は新旧が織り混ざり、そのひとつひとつが違和感なく耳に届く。
終盤は”タイム・イズ・ランニングアウト”、”スターライト”でクラップの嵐。グリーン・ステージでの一体感、星のない夜空に、光を突き刺す。激しく重たい音と美しいメロディ。ひとつのカテゴリーに収まることのないエネルギッシュなライブは、初日を飾る堂々たるステージとなった。
写真:古川喜隆
文:千葉原宏美