炎より熱い大道芸、ここにあり

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8/6 10:14  Twitterに投稿する

芸人まこと
フジロック歴は今年で12年になるという芸人まことさん。炎を使ったパフォーマンスは、オアシスやところ天国などで目にしたことがある人も多いはず。最終日の夕方に見たこのパフォーマンスは、前夜祭からはじめてすでに12回目になるとのこと。

手品や話術で巧みに笑いを取りながら、巨大なコマのようなものを空中に放ってキャッチするディアボロや、3本のたいまつを用いたジャグリングといった大技でお客さんの目を惹きつける。前半は好調に進んでいったのだが、後半になると連日のパフォーマンスで疲労が蓄積したのか、肝心な場面でのミスが増えていった。歯がゆい気持ちは見ている誰よりも、演じる本人が感じていたことだろう。そんな状態であっても、場を離れるお客さんがいなかったのは、芸人まことが発する炎よりも熱い言葉が届いていたからかもしれない。他のどの場所でやるより、フジロックで大道芸をするのが好きだという。たとえギャラは出なくても、見ている人が投げ銭をくれるから場が成り立つ。フジロックがあったから今の自分がある……。隣のホワイトステージからはバンドの音が響いてきたが、それでも場を離れようとするお客さんはいなかった。

ホワイトステージから響く音楽をバックに、最後は豪快な火吹きを披露。周囲の温度が瞬間的に変わった。そして、そのまま火のついたたいまつを飲み込む荒業、火喰いを見せつける。たいまつを口にくわえたまま、天に向けてこぶしを突き上げる姿からは、すべて出し切ったという心意気が感じられた。この日一番の歓声と拍手が芸人まことを包み込むと、投げ銭を握りしめた人たちが次々と駆け寄って行く。その表情からは誰もが心から満足している様子が見てとれた。炎より熱い大道芸。それは熱いロック魂を持った男の生き様そのものと言っていいのかもしれない。

写真・文:船橋岳大