非常に贅沢なアヴァロンの夜
2日目のジプシー・アヴァロン20:15。ライヴが始まる前からステージ前は人がいっぱいだ。いや、前だけじゃない。山を登った上の上の方までびっちりうまっている。それだけ、これから登場するアクト、Maia Hirasawaを楽しみにしている人が多いということだ。
ピンクとオレンジの衣装で登場したマイアはとってもかわいらしい雰囲気。ウッドベースとピアノをバックに、自身はエレキを持って歌い始める。MCは一生懸命に日本語で話し、後ろから漏れ聞こえてくる音に「ホワイト…うるさい」と毒づいてみたりして、茶目っ気たっぷり。「アルバムを作る時、日本語でも歌いたくて作った」という日本語歌詞の「太陽」も披露してくれる。こういうフレンドリーなところもファンを増やしている理由かも。曲のほうはというと、じっと聴き入ってしまう曲もあれば、気持ちよくスイングしたくなるものもある。そしてなにより素晴らしいのがいい感じに力の抜けた、でもしっかりと響いてくる声だ。苗場の夜を爽やかに彩っていく。最初は座ってみていた後ろの方のお客さんも、その声にのせられて次々に立ち上がっていった。
マイアの名前を一躍有名にしたCM曲「It’s Doesn’t Stop」が流れると、黒く浮かび上がる観客の陰がますます増えていく。ホワイト方面から曲に合わせて手拍子しながら歩いてくる人も見えた。人をひきつける曲というのは、こういうものなのだなと実感した。
最後は「希望と幸せの歌です」と紹介された「BOOM」。You Tubeで話題になり、カンヌ国際広告祭アウトドア部門では金賞をとった九州新幹線全線開業CMのテーマソングだ。これには座っていた人もみんな立ち上がった。目の前ではマイアが歌い、頭の中では元気をもらったあの映像が流れる。なんて贅沢な時間だろう。
残念ながら私は見えなかったのだが、撮影を担当したカメラマン氏によると、最前列にいた一団が「BOOM」がはじまると同時にポンポンをとりだし、CMさながらにふりだしたという(写真参照)。なんていい光景だろう。準備して来た方も、それを見たマイアもさぞかし嬉しかったに違いない。
Maia Hirasawaは明日の深夜レッドマーキー、SOIL&”PIMP”SESSIONSのステージにゲスト出演するそう。お時間ある方はぜひ。
文:輪千希美
写真:直田亨 (Supported by Nikon)