愛に溢れたライヴ
フジロック最終日の午後。グリーンステージのバックドロップには、昨年リリースされたFEEDERの最新アルバム『RENEGADES』のジャケットが掲げられていた。客席からは日の丸とユニオンジャックの二つがコラージュされた旗が伸びて、風に乗ってなびいている。
ライヴは"Barking Dogs"からスタートした。『RENEGADES』からの曲を中心に、息もつかせず疾走する演奏に応えるかのように、ステージ前ではモッシュが起こり、観客の手が挙がっている。ボーカル&ギターのグラントは演奏中に何度もフジロック! と叫んでいた。ライブ中盤、日本を出身地に持つベースのタカ・ヒロセがこう語り始める。
「念願のグリーンステージ、演れて嬉しいね。今回は東北での大震災もあって、俺たち特別な思いで来ました。オーディエンスも同じだと思うけど、フジロックが毎年、いつものようにここで行われるってことは、スゲエことなんだよ。スゲエ大事なんだよ。日高社長含めスタッフの皆さん、それにアーティスト、そしてオーディエンスのみんなも、拍手でたたえ合おう。」
そして"Just The Way I'm Feeling"が演奏される。思わず涙が込み上げた。フジロックに幾度となく来てくれた彼ら。今年三月に起きた東日本大震災でも、いち早く日本のために動いてくれた。震災から約二週間後、義援金のためにiTunes Storeを通じて新曲"Side By Side"が配信されたのだ。ライヴ終盤、タカが再びこう語り始める。
「今日、ゲストを二人呼んであるから。リハ無しの一発で演るから、結構緊張してる。」
盛大な拍手で呼び込まれたのは、LUNA SEAのINORANと、今年のホワイトステージに登場してくれたthe HIATUSの細美武士。演奏されるのは、昨年行われたFEEDERのツアーのアンコールでもゲストのINORANとともに演奏された、NIRVANAの"BLEED"! このスペシャルなサプライズに、会場では足元のぬかるみなどものともせずにお客さんが盛り上がる。演奏の最後には、ゲスト二人と固く握手を交わして見せてくれた。彼らは本当に、日本を愛してくれているのだ。そして勿論、その逆だって然りなのだ。ありがとう! FEEDER!
写真:前田博史
文章:小田葉子