キャンドルと甘い声
急遽発表。本日20時半、ピラミッドガーデンにてキャラバン出演。20時半?!これはまたすごい時間帯にライブを…。この時間と言えば、エルビス・コステロが終わり、レディオヘッドのために席取り合戦のまっただ中ではないのか。お客さんが集まるのか。そんな懸念と、ピラミッドガーデンでひっそりと歌うキャラバンの姿に期待しながら向かった。
この時間のピラミッドガーデンへの道は苗場プリンスホテルあたりから真っ暗で、音もどんどん遠のいて行く。苗場プリンスホテルをすぎるとようやくピラミッドガーデンの音が聞こえてきた。ついてみてまずびっくりしたこと。それは、夜のピラミッドガーデンの美しさだ。暗闇の中にぼうっとキャンドルが立ち並び、とても幻想的なのだ。そしてステージにはキャンドルがたくさん置かれていて、その中心に、キャンドルの中にキャラバンの姿があった。この日のライブは特別編成、キャラバンの引き語りを一層際立たせるのは、勝井祐二によるバイオリン。勝井はROVOや渋さ知らズオーケストラなどで活躍するバイオリニストだ。キャラバンの甘い声と勝井のしっとりとしたバイオリンの調べがとてもよく合っていて、幻想的なピラミッドガーデンと相まって、まるでフジロックではないような静かな音楽の空間が広がっていた。
「こんな遠くまで来てくれてありがとう。この景色の中で歌いたい曲があります」そう言って始まった”Soul Music”。この曲はまるでこのピラミッドガーデンを表現したような歌詞で、どんどん歌詞の世界に引き込まれた。アウトロでは、フィッシュマンズの”ナイトクルージング”の一節をのせるなど、遊び心も垣間見え、幸せな空間があたりを立ちこめていた。
次回のワンマンライブでは、ステージングをこのピラミッドガーデンを作っているキャンドル・ジュンが担当すると言う。またこの空間でライブが見られると思うとわくわくしてくる。フジロック初日、キャラバンはヘブンステージに立っていた。大きいステージと小さいステージ、僕は両方とも体験したわけだが、ステージによってスタイルを変えてしっかり表現してくるキャラバンは、どこで見てもやっぱりキャラバンであった。