結成記念日に見せつけた最高の怪演!
今年のフジロック、ホワイトステージの幕開けを飾るのは“ロック界の奇行師”、アルカラ。ライブ開始時刻の3分前にステージに登場するという奇行で早くも会場の度肝を抜くと、そこから3分間は稲村太佑(ボーカル&ギター)の「オカンの話」でグズグズと引っぱり、観客の失笑を誘う。時刻となると“癇癪玉のお宮ちゃん”でライブをスタートさせると、4人が繰り出す変幻自在、自由奔放なサウンドでホワイトステージを一気に夢中にさせてしまう。
「7月26日はアルカラの結成記念日で、今日で11周年になりました。だから、めっちゃかっこいいライブをしようと思います。もし、できんかったら、“激おこプンプン丸”に改名したいと思います」と観客を爆笑させる稲村。その言葉通り、アルカラの名をかけた激烈なライブが繰り広げられる。「フジロックだけに」と披露された新曲“藤壺のキミ”は、9月4日リリースのニューアルバム『むにむにの樹』収録のナンバー。鮮烈なバンドアンサンブルで、真昼のホワイトステージの狂騒をさらにヒートアップさせていく。性急で痛快なビートで畳み掛けた“わ、ダメだよ”でホワイトステージを完全にアルカラワールドに引き釣り込んだかと思えば、「皆さんがアルカラで元気を使いきってしまわないように、アコースティック編成でお送りしています」(稲村)と人を食ったようなMCで弛緩させる彼らであった。“キャッチーを科学する”の演奏中には、飛んできたトンボが稲村の指に止まるというサプライズ。苗場のすべてが、アルカラの11周年を祝福しているようだ。
“夢見る少女でいたい”では「俺、今フジロックのステージで歌ってるぞ!」と歌詞を変えて歌ったり、アンプの上に飛び乗ったり、ステージを駆けまわったり、初めてのフジロックのステージを思い切り楽しんでいる稲村。クールに演奏する田原(ギター)、下上(ベース)、疋田(ドラムス)に、「11年間、ありがとう。祝うハメになった皆さんにもありがとう!」と稲村が手を高らかに掲げると、最後に演奏したのは、結成当初から空っぽのライブハウスでやり続けてきたという楽曲“メランコリア”だった。ホワイトステージを熱い興奮に包んだ彼ら、最後は稲村が“リンダリンダ”を独唱し、「(美しさが)あ〜る〜か〜ら〜!」と観客全員で大合唱し、アルカラの11年を濃縮したような、濃密かつ歓喜に溢れたステージは終了した。アルカラ、11周年おめでとう!
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