40分、ひとつの音
「フジロック初登場のクロマニヨンですよろしくおねがいしまーす!」という開口一番MCで言われてはじめて「えっそうだったの?」とびっくりするくらい、その場にいることを自然だと感じていたバンドの登場である。汗もにじむような13時、メンバー自身での入念なサウンドチェックを経て、そのステージは始まった。
生音ダンスミュージックバンドと形容されるような、ステージ上でひとつのグルーヴをずっとコントールしていくような彼らのサウンドは、今回サポートにパーカッションを加えたカルテットと成すことでその表現を緻密にした。ジャズのような静かな立ち上がりから、徐々に4つ打ちを浸透させるような形でギアをひとつひとつ上げていく。ボンゴは音を豊かにし、ギター&ベースのダブルネックでリズムとメロを行き来する。サウンドの要である金子巧のシンセは本日控えめな印象を受けながらも、大竹重寿のリズムの上に漂い、時に奥行きやシャープさを増幅してスピーカーに届いてきた。
40分という時間の中で紡がれるグルーブにはいくつかのトピックもあった。中盤にソイル&ピンプセッションズの社長があらわれ、曲に煽りの要素を盛り込む一曲があり、それからもアルバトラス等に参加する元晴が金色に輝く衣装とそしてサックスを持って登場、そこへさらにソイル〜の躍動するトランペット・ダブゾンビも加わり、ふたりを前面に出す形での「逆襲のテーマ」も披露された。いずれの曲も曲間の静寂をつくらない、ひとつのストーリーのような形で、オーディエンスのダンスの呼吸にシンクロさせてきた。
終演、不本意であったろう解散劇なども経てか、大竹の「ありがとう」の声は何度も繰り返された。今日ゲストで出てきたメンバーのような、フィールド・オブ・ヘブンのステージに立つ何組ものコミュニティミュージックの同士とともに、終わらぬダンスミュージックの時間が続いてほしい。ライヴの興奮を携えたわたしはそう願ってやまない。
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