静かに燃え上がる炎のように
ボードウォークからヘブンへ抜けると、木々が重なった涼しさという恩恵があらためて実感できる。昨日のどしゃぶりから一転、直接浴びる太陽からは、日焼けを超え、もはやこれは焦げた感というやつだ。とりあえず、暑い! 雨を覚悟してきたのに、この暑さはどうだろう。サングラスをかける人も多く、雨にも太陽にもどちらでもこいという準備万端のフジロッカーズには脱帽のひと言に尽きる。熱くもゆるくもオレンジコートに人が集まり、待つのはTHE SEA AND CAKE。
20年選手となれば、それはまぁ、何と言うか熟年夫婦のような安心感に抱かれているようで、派手なパフォーマンスもなければ、絵としてもまぁ、派手ではない。淡々と、黙々と。今日のリズム隊はジョン・マッケンタイアに、ダグ・マッコームズのトータス・コンビということだけで、すでにここにいたことに極上感を味わう他に何があるだろうか。サングラスをかけたジョン・マッケンタイアのレンズの先の表情はいかに、決して煮え切らないのではなく、このタイトさや派手さのない寸止め感がクセになり、ぐいぐいと引き込まれていくしかない。それでいいのだ、その泥沼感がたまらないのだ。それに加えてサム・プレコップのポップな要素が織り込まれ、泥沼は底のない泥沼だったことに気づく頃にはすでに遅し。
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