グリーンステージにこだまする大合唱
記憶に新しい第55回グラミー賞。最優秀楽曲賞と最優秀新人賞をとったFUN.。やはり日本での知名度もしっかり浸透していて、開始20分前にもかかわらず、モッシュピットは満杯。ステージ後方にも芝生に腰をおろし、出番を今か今かと待つ観客でにぎわっていた。天気予報とは裏腹に、青空がのぞくグリーンステージにて、夕方の心地よい空気感とともに、グラミーアーティストFUN.がついにフジロックに登場だ。
オンタイム。「Put Your Hands Up!(手を挙げろ!)」という声と、金色のマイクを携えて登場したボーカルのネット・ルイスと一緒にメンバーがステージにあがる。そしてすぐに”One Foot”のイントロが流れ出す。縦ノリでダイナミック、そしてわかりやすいこの曲で、曲を知っている人はもちろん、知らない人までどんどんFUN.の世界へと引き込んでゆく。メンバーはというと、ネットとギターのジャック・アントノフは、ステージ上を縦横無尽とかけまわり、アンドリュー・ドストは鍵盤とユーフォニウムを自在に操り、楽曲のテンションに拍車をかけていく。そんな姿を目の当たりにして、盛り上がらない人がいるだろうか。メンバーのパフォーマンスとネットのフレディ・マーキュリー顔負けのピッチの良いハイトーンボイスで、観客のテンションもどんどん上昇していくのであった。
ライブ中盤では、ジャックがスティックを持ちドラマーと一緒に一台のドラムでリズムソロを叩くといった演出で盛り上げていた。その後、アンセム曲の一つ”Carry On”のイントロが流れると、沸き立つ観客。サビの部分では、大合唱となり、夕方のグリーンステージにネットと大勢の観客の声がこだましていて、とても印象的だった。中盤、ミドルテンポの曲が続き、涼しい風と相まって心地よい雰囲気だったが、それをぶちこわしたのはジャックだった。おもむろにドラマーの横に立つ。そしてカウントを始めれば、勘の良い人はここで歓声をあげる。アンセム曲”We Are Young”だ。ここでももちろん大合唱。いや前述の”Carry On”を越えるものになっていたのは間違いない。気がつけば、グリーンステージ後方まで、びっしりと観客で埋まっていて、それが全員でウィーアーヤーーングと唄えば、すごいものになる。フジロッカーならわかるでしょ?この感覚。最後の曲はニューアルバム『Some Nights』の表題曲で、盛大に締めくくったのだった。今回のセットリストは『Some Nights』からが多く選曲されていた印象。コーラスワークや曲構成、そしてネットのあの声を聞いているとやはりQUEENを想像してしまう。もちろんパクリやオマージュなど一切無いわけだから、自分の声をしっかり消化して、自分たちの楽曲に活かせている証拠なのだろう。フジロックの出演で日本での知名度がグンと上がったところで、今後の彼らの活動に注目していきたい。
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