逆境を跳ね返す
今年のフジロックの注目すべきポイントとしてあげられるのが、現在のインディー・ミュージック界の期待を背負っている、ヴァンパイア・ウィーケンド、テーム・インパラ、フォールズなど、2008年くらいからシーンに登場したアーティストが2作目、3作目のアルバムを携えて出演すること。これらのバンドは前作と同じことを繰り返すのではなく、バンドとして大きく飛躍するために、新しい試みを次々と打ち出し、独自の路線を進むことに成功している。
ローカル・ネイティヴズも彼らと同じように、意欲作、『Hummingbird』を発表。このアルバムによって、バンドが新たなステージへと上がったことは間違いなく、今日のライヴはその姿を日本のファンが目撃できる絶好の機会となった。初来日となった2010年のフジロックでは、昼間にも関わらずたくさんのオーディエンスがつめかけ、ベストアクトの呼び声も高かった。今回はレッドマーキーへの出演となっており、彼らの終演後すぐにグリーンステージではマイ・ブラッディ・ヴァレンタインが登場するため、終盤にかけての客足がいささかの不安ではある。
レッドマーキーに来て早々、先ほどの不安が的中してしまう。同時間帯にグラミー賞2部門を受賞したファンが出演していることも原因してか、先ほどのライのときにはフルハウスの状態だったが、その半分くらいまでにオーディエンスが減ってしまっていた。が、蓋を開けてみれば、曲を演奏すればするほどオーディエンスが増えていくという素晴らしいライヴだった。1曲目は『Hummingbird』から“You & I”。ベースが脱退してしまい、バンドのグルーヴがなくなってしまうのか心配だったが、特にそういったことはなく、以前よりも繊細で表情の豊かなサウンドに感じられた。
デビュー当初からライヴバンドとしての実力が評価されていただけあって、レッドマーキーから漏れて聴こえる肉厚なバンドサウンドが、どんどんオアシスエリアやワールドレストランにいる人々を惹き付けていく。“Colombia”や“World News”では手拍子や合唱があちらこちらで起こっていたわけで、どうして最初に人が少なかったのか謎である。ラストの“Sun Hands”が披露されたときなんて、レッドマーキーにおける今日一番の盛り上がりだったのではないかと思う。
「僕たちは2010年のフジロックで初めて日本にやってきて、それから3年のあいだに4回も来日することができました」というMCがあったように、すさまじい勢いで成長するバンドの姿を、また、フジロックで目撃したい。今度は是非とも、グリーンステージで。
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