次はバンド編成でお願いします
スパークスは今年1月に来日して、好評を博した――ロンのキーボードとラッセルのヴォーカルのみのシンプルなセット――のライヴを続けていて、その形でフジロックに帰ってきた。スパークスが前回フジロックに出たときは、スクリーンを最大限使用してヴィジュアルに凝ったライヴをおこなっていてそれも好評だったのをお客さんも覚えているのか、始まる前にはけっこうステージ前に陣取っている人がいた。
お客さんの平均年齢は高く、外国人も目立つ。先ほどまでグリーンステージでやっていたFUN.や明日やるビョーク(90年代にスパークスのアルバムへ参加予定があった)もスパークスのチルドレンか孫みたいなもので、ミュージシャン内の影響力を考えると、もうちょっとお客さんがいてもいいのではないのだろうかと思うけど。
ステージ下手にはRoland(ローランド)ならぬRonald(ロナルド)とあるキーボードが一台置かれているだけ。あとはスクリーンも何もない。まずは、兄のロン・メイルが登場してキーボードを弾く。ロンは丸メガネに白いシャツ、ストライプのネクタイという昭和の教頭先生みたいないつものスタイル。そして、「ディス・タウン・エイント・ビッグ・イナフ・フォー・ボース・オブ・アス」や「ネヴァー・ターン・ユア・バック・オン・マザー・アース」などのフレーズを引用しながらピアノの音色で弾く。
そして弟のラッセル・メイルが登場。サングラスにチャコールグレーのジャケット、黒いTシャツにグレンチェックのバミューダパンツというスタイル。以前はもっと腹が出ていたけど、少しスリムになったようだ。そこからずっと「ふたつの手、ひとつの口」という前回のツアータイトルのようにキーボードとヴォーカルのみのステージをみせてくれたのだ。「リズム(つまりドラムとベース)泥棒」という「ザ・リズム・チーフ」や「マイ・ベイビーズ・テイキング・ミー・ホーム」など2000年前後以降のものが歌われる。ラッセルの声は往年の、とまではいかないけど、甲高い声を出し伸びやかに楽しそうに歌う。スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンについて作られた最新作からも演奏された。
そしてファンおまちかねの「ネヴァー・ターン・ユア・バック・オン・マザー・アース」や「ディス・タウン・エイント・ビッグ・イナフ・フォー・ボース・オブ・アス」という70年代の代表曲や、2000年代の力強い曲である「ディック・アラウンド」や90年代の代表作「ホエン・ドゥ・アイ・ゲット・トゥ・シング”マイ・ウェイ”」などもやってくれた。ラッセルは何度も「アリガト、アリガト」と繰り返すも、ロンがラッセルのジャケットの裾で顔を拭いたら、ラッセルはロンを指し「ノー・アリガト」という。
そして、ダンスミュージックを先取りした「ナンバー・ワン・ソング・イン・ヘヴン」、そして「ビート・ザ・クロック」を披露。「ビート~」では、ラッセルがロンに代わりキーボードに立ち、ロンは恒例の、前に屈んで腕を前後に強く振るダンスをみせ、お客さんを沸かせる。最後の最後は最近ののテーマである「トゥ・ハンズ、ワン・マウス」を披露する。近い再会を約束しつつ、拍手の中でふたりはステージを去っていった。
楽しいステージではあったけれども、70年代の珠玉の名曲、アノ曲やアノ曲やアノ曲がないというのがなんとも残念。今度はフィールドオブヘブンあたりで、フルバンドか完全ダンスセットでのスパークスをぜひとも観てみたいのだ。
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