フジロックに愛される男
入り口のゲート、オアシスの屋台、ベンジー。個人的フジロックに来たことを実感するアイコントップ3。2013年7月26日16時30分、ホワイトステージに集まった人なら共感してくれるのでは?特に3番目。
かたむきかけた陽に照らし出されたホワイトステージ、スクリーンに浅井健一&Bad Teacher Kill Clubの名前が映し出された途端、「ベンジー!」の呼び声がかかる。それだけ、ベンジー見なきゃフジロック始まらない!というオーディエンスが多いということだ。その声に応えるように、客席をゆっくり見渡しながら浅井健一がステージに登場すると、その歓声は2倍にも3倍にもなる。「見た事もない鳥」でスタートしたライヴは、思わずニヤニヤしてしまうほど鋭くてストレート。わかりやすく言うとカッコいい。ギターの加藤隆志が積極的に前に出て、その場にいる人すべての気持ちを上げていった。
前半はちょっと様子を見ていた感じのオーディエンスも、中盤の「危険すぎる」からスイッチが入り、「ガソリンの揺れかた」で完全に振り切れた。そんな客席の熱量に、ベンジーもうれしそうな表情を見せる。ピックを投げる数もいつもより多いようだ。続く「MORISS SACRAMENT」ではベースの渡辺圭一、ベンジー、加藤が揃ってネックを左右に振るパフォーマンスを披露。大人が本気で遊んでいるような姿に、ニヤニヤ再び。後ろからそれを見つめるドラム茂木欣一の笑顔もいつも以上に大きいのが印象的だ。
後半はもう、圧巻のひと言だった。静かに聴かせる「人はなぜ」でぐっと気持ちを惹き付けたと思ったら、「赤いタンバリン」「Devil」、フロント3人が全員でジャンプする「チキチータブーツ」と一気に加速し、最後は「サリンジャー」。この曲は予想していなかった人が多かったか、驚きと興奮で狂喜乱舞が巻き起こり、紅潮した顔のダイバーが次々と宙を舞っていった。
曲に合わせて無数に上がる腕、神様が降りてきそうな光線をつくる夕日、降りそうで降らない空。そんな風景を見て、「愛されてるなあ、この人。フジロックに」と実感してしまった。こんな風に思わせてくれるアーティスト、なかなかいないだろう?
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