オーディエンスとの幻想的な共演
日が暮れて、暗くなってきたジプシー・アバロンに登場したのはソロユニット、タクジ(Takuji)として活動している青柳拓次。リトル・クリーチャーズやカマ・アイナといった音楽活動では、アコースティックを基本とするクリーンな音で人々を魅了している彼。今回のステージでは世界中の様々な民族、部族のスキャット(意味を持たない詞)をオリジナルのメロディにのせて歌うという、実験的なパフォーマンスを見せてくれた。
突然降り出した大雨のなかステージにあらわれたタクジは、「だいじょうぶ?」とオーディエンスを気づかった。そこからは、オーディエンスとタクジとのやり取りが中心の、オーディエンス参加型ステージに。タクジがオーディエンスの男性と女性それぞれに別々のスキャトをなげかける。それを繰り返してゆくうちに、男性スキャットと女性スキャットがハーモニーを奏でていることに気づかされる。ハーモニーに気持ちがよくなったところで、タクジがまた別のスキャットを重ね、音の豊かさがさらに増してゆく。
タクジの織りなす音楽はアコースティックが基本ではあるが、テクノ、ジャズ、ロック、民族音楽といった幅広いジャンルを取り込んで、それを昇華させている。彼の音楽に「参加」していると、音楽と生命のつながりや、自分が自然の一部であることを感じさせてくれる。そんな気のする音楽に出会えた夜だった。
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