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Posted on 2013/07/26 19:30
  • ライブレポート
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Chara x Yusuke Kobayashi (THE NOVEMBERS) x KenKen (RIZE) & [Shinji Asakura x Rio x Masaki Narita]

実はオルタナ女王、Charaの爆発力

 Charaと言えば去年、渋さ知らズオーケストラのステージに飛び入りし、「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」の競演に狂喜した人もいるはず。そして今年はCharaソロというよりも新たなバンドメンバーと新たなフェイズに突入したサウンドをフジロックでも見せてくれることになった。ことの発端は、長年CharaのファンだったTHE NOVEMBERSの小林祐介が、彼らの前作゛GIFT゛をとある編集部経由でCharaに渡し、気に入った彼女はすぐさまTHE NOVEMBERSのライブに足を運び、早々に小林とのライブや音楽作りがスタートしたというわけだ。

 猛暑再来!な先ほどまでの好天が嘘のように、いきなりの豪雨。さすがのレッドマーキーも雨音がすごい。そんな中、個性派のバンドメンバーに続いて、Charaが圧倒的なオーラを放ちながら登場すると男女両方の歓声がどっと湧く。シーケンスに小林の空間的なエフェクトが静かな興奮を誘うサウンドでいきなり新曲「永遠を知らないか」、そして新たなアレンジとメンバーで曲のイメージが更新された「話して尊いその未来の事を」で、すっかりブランニューCharaワールドにレッドが染まった中、いつもどおりのマイペースな口調で「雨、降ってきたね。大丈夫?勝ち組だね、テントは」とレッドのオーディエンスを冗談半分に称える。

 自由な動きで魅了したあとは、キーボードの前に座り、鍵盤を弾きながら序盤に早くも「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」を惜しげもなく披露したのだが、この曲への反応はその場にいるほとんどの人が「ああ、やっぱりこの曲、大好きだ」という無言の感動。いや、感極まった声や歓声がサビ後に起こるぐらい、やはりこの曲は強い。グッとオルタナティヴな本領を発揮した目下の新作『Cocoon』からホーリーなコーラスが美しい゛蝶々結び゛はフロントの男性ミュージシャン3人も声を重ねる。新作からはフジロックの客層にもフィットする彼女流のニューウェーヴィかつローファイなロック゛DADAAAN゛や゛Lita゛が凡百のシンセポップの斜め上行くセンスで思わずニヤリ。そしてKenkenという多忙を極めるベーシストの柔軟さや存在そのもののアートっぽさにも再びニヤリ。

 ラストは大きなリズムがすぐさまオーディエンスのクラップを誘い、さらに歓声が大きくなる中、囁くように歌い出される「やさしい気持ち」。が、彼女の感情は全身から放たれ、時に絶叫に近いボーカルも放たれる。絶叫、スクリームというと、小林祐介もそれが全然、ジャンルのスクリーモと無関係なところで歌として叫ぶ。とてもエモーショナルで繊細で無邪気な子どものようなイメージ、もちろんそれは大人だからこそ力を発揮する表現なのだが、Charaは今、この新しい仲間たちと彼女のアップデートされ続ける音楽のひとつの高みを結晶させた。新たな才能同士を繋ぐ彼女の求心力も窺うことができた。それにしても長いキャリアを経てレッドマーキーのエッジーさが似合うなんて、やはり彼女はかっこいい。

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