ゆっくりと重なるやわらかな音
「晴れてよかった。ゆったりとした気持ちで聞いていってください。」そんな優しい言葉からSoRA × 勝井祐二の演奏が始まった。今年新たに作られたバスカーストップのステージ前には4人がけのアウトドア用ベンチがいくつか並べられ、そこに座ったお客さんとステージの間には穏やかな空気が流れ始めていた。
SoRAが歌いながらギターの弦を弾いていく。それはコードをかき鳴らすといったものではなく、一音一音を大切にするかのごとく、指で丁寧に音を引っ張りだしているような弾き方に見える。自身のバンド、ROVOなどでは激しくバイオリンを弾く姿をよく見る勝井も、SoRAと呼吸を合わせるようにゆっくり丁寧にふっ、ふっと音を奏でていく。激しいプレイスタイルの時にはふんだんに使われているエフェクターも、この2人のユニットでは控えめだ。
透き通った声でぽつりと一つ曲を演奏し、ぽつりと曲名を紹介するSoRA。彼女は自称日本一控え目なシンガーソングライターと言っているのだか、ライブの進め方にもそんな性格が表れているのだろう。「これから3日間長いので、無理しないで、頑張ってください。」勝井祐二が客席にそんな言葉を投げかけ、最初から最後までやわらかな空気に包まれ30分間のステージは幕を閉じた。
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