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Posted on 2013/07/26 23:00
  • ライブレポート
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NINE INCH NAILS

雷鳴とどろく圧巻のパフォーマンス

NIN登場の30分ほど前から、ゴロゴロと雷が鳴り出し、もしやもしや…と空をうかがっていたら稲光が走り、つられる様に大粒の雨が降り出した。会場はレインウェアで完全装備した観客で埋まり、もちろんモッシュピットも同様である。 そんな中、ステージ袖から何の前触れもなく現れたトレント・レズナーに、観客が一斉に沸き立つ。相変わらずマッチョで坊主頭、黒いタンクトップに短パン。しかも更に腕が太くなって、まるでブートキャンプじゃないか…。

まずトレントが一人で演奏を始め、折り重なる様に、他のメンバーが音のレイヤーを重ねながら順番に登場し、それぞれのシルエットが背景に大きく映し出される美しい演出。もう、すっかり心を掴まれる。そして、これは9月に発売されるアルバムからの新曲ではなかろうか?

器具が組み込まれたグリット構成のパーテーションの様な照明は、曲ごとに前後左右に自在に移動するが、よく見ればそれはなんと人力!屈強…でもない男達が引っ張ったり押したりしている。考えてみればフェスのステージでこんな重そうな物を電子制御で動かすなんて事はないのだろうが、複雑なフォーメーションをスルスルこなしていて、関心してしまった。そんな照明ウォールが照らし出す、ステージ横一列にビシッと並んだメンバーのシルエットがカッコいい!帰ってきたロビン・フィンク、The Fragileツアー時代と同じような大五郎カットで懐かしさが込み上げる。自然、素晴らしいステージ、取り巻く空気感…と、フジロックに魅了される理由は沢山あるけれど、そんなフジでやっとNINが見られる!しかも今回はワールドツアー初日となり、Youtubeに配信されたのは、来られなかった人にも嬉しいニュースだ。

“March of the pigs”から”Piggy”と続き、会場は一気に天井超えの熱気、”Reptile”ではステージからレーザー砲のような照明が会場を鋭く射る。お腹にズンズン響くような低音の音圧に圧倒される。空には依然、稲光が矢のように降り注ぎ、正直、あちこちに落ちまくっている雷を見て恐怖を感じないと言えばウソになる。が、それさえも演出の様な錯覚に陥ってしまうほど、雷雨とステージパフォーマンスがマッチしていた。 赤い光で統一されたセクシャルな”Closer”では、照明ウォールに、歌っているトレントの顔が大映しになったり、”Only”ではPVを彷彿させる光の粒子がトレントの動きに反応してウォールに吹き荒れたり…とにかく目を見張るクリエイティブな仕掛けがあちこちに散りばめられており、しかもそれが何ら邪魔することなく曲の魅力を最大限に表現している。芸術的で本当に美しい。 『With Teeth』以降、生音バンド重視のステージングであったが、今回はサンプリングもふんだんに使われ、惜しくもツアーメンバーから離脱してしまったエイドリアン・ブリューがいたらどうなっていたのか?ちょっと観たかったのが残念なところ。

“Head like a hole”で合唱が起こり、”Hurt”で背景映像に想いを馳せる。そう、このスクリーン映像を見たのは確か2000年初来日だった。会場の熱気で終演後の冬の冷たい夜風でさえ気持ちよかったのを覚えている。トレントは常々、「自分の音楽が聴く人の人生のサウンドトラックになってほしい。」と語っていたが、上空を縦横無尽に走る稲妻、新旧織り交ぜたセットで湧いた会場、雨の中の人いきれ、一緒に観ていた誰か…今日の苗場でのライブこそ脳内ハードディスクに刻まれた最高のサウンドトラックになったはずだ。

PS:現在、ナイン・インチ・ネイルズのオフィシャルではこの時の映像・音源がDL可能。要チェック!)

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