パレスの開幕を告げた東京クラブシーンの立役者
クリスタル・パレス・テントの幕開けを任されたのは、80年代後半より東京のクラブシーンを支えてきたヤベ・タダシだった。ダンス・チューンを切れ間なく繋ぐ中にも、後に控えるバセク・クヤーテ・アンド・ンゴニ・バを意識した土くささを入れこんでくる。
オープンした時点において、グリーン・ステージではナイン・インチ・ネイルズ(以下、NIN)が演奏中で、テントはNINにはつきものと言い切っても良い「ケタ外れの雷雨」から逃れるための避難先ともなっていた。引き寄せられる人たちを優しく暖めつつ、しかし着実にその場にとどめ置かせてしまうのは、きっとベテランならではの駆け引きがあるのだろう。
NINが終わり、だんだんとお客さんが増えてくると、DJ卓から流れ出る音は勢いを強めてきた。テントの中はかなり暖まっている。西アフリカからやってきたバセク・クヤーテ・アンド・ンゴニ・バへと絶妙な流れでバトンを渡して、パレスは狂乱へと突き進むこととなる。
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