ハイトーン・ヴォイスとヘヴィなサウンドの融合
フジロックの天候はくるくる変わる。2日目ホワイトステージのコヒード・アンド・カンブリアが始まる前の10分くらいは日差しが痛いときがあったのに、演奏中に雲が厚くなってきて終盤には雨が降ってきた。ステージ上にはギター2本とベース、ドラムセットだけが置かれている。その背後には、現時点での新アルバム『The Afterman: Descension』のジャケットを拡大した幕が下げられていた。ホワイトステージに集まるお客さんたちの数はやや寂しいという状態でメンバーがあらわれライヴが始まった。
コヒード・アンド・カンブリアは、どうしても髪の毛に目がいってしまうクラウディオ・サンチェスがギターとリード・ヴォーカルで彼のハイトーンな声と重厚なサウンドが特徴のバンドである。声の特徴やヘヴィな音、ポップなメロディへの柔軟な対応、プログレッシヴ・ロックを思わせるコンセプトからカナダのRUSHに近いところがあるけれども、テクニック展覧会にならないところが90年代や2000年代を通過した人たちだといえる。実際、iTunesからダウンロードされて聴いているものと、ほぼ同じ演奏ができてしまうところなんかはテクニックの高さが感じられるけど、派手なソロパートや長いインストゥルメンタルがなく、あくまでもクラウディオの歌を引き立たせるためのヘヴィな音を作るためのものである、ということが今回のライヴでは印象的だ。だから、この日は「プログレ」というよりポップなメロディがありつつヘヴィなロックバンドである面をフジロックのお客さんたちにみせてくれたのだ。
選曲はアルバム『ジ・アフターマン』シリーズの曲を中心に演奏される。彼らの熱い演奏にホワイトステージにお客さんたちが徐々に集まり、最終的にはそれなりに埋まった状態になっていた。最後は定番の「ウェルカム・ホーム」。この演奏と曲のクオリティからいって、もっと大きなステージに立てそうなバンドでないかと感じた。その際には「ホワイトステージでコヒード・アンド・カンブリアを観たことあるんだぜ」と誇れるはずだ。
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