ピアノ・ロックの新鋭、現わる
トム・オデルを語るときにまずは目を引くのは、今をときめくイギリスのアイドル、ワン・ダイレクションのメンバーと言われても鵜呑みにしてしまうようなルックス。あの恋多き美女テイラー・スウィフトとも噂になったというのだから、イケメンセレブ枠はお墨付きだ。
そんな彼、てっきり一発屋のアイドルシンガーなのかと思いきや、13歳の頃から作曲をしていたという本格派のシンガーソングライターだという。過去にアデルやエミリー・サンデーが受賞したブリット・アワードの批評家賞も受賞している。一部ではジェフ・バックリーの再来とまで言われているようなので、シンガーソングライター好きとしては見逃せない。
豪雨から逃れてきたお客さんがいたこともあり、レッド・マーキーは超満員。ピアノの前に座ったのは、チェックのシャツを着て、ちょっと長めのブロンドの髪を耳にかけた美青年。あらあら、やっぱり可愛いじゃないの。ギター・ベース・ドラムのバンドメンバーを迎えてのステージ編成だ。
実際に彼の歌声を聴いて思ったのは、CDで聴いていたよりもずっとエモーショナルな歌声だということ。ファルセットをきかせた声から、ハードロック・バンドのような太い歌声まで出してみせる。また、楽曲もシンガーソングライターらしい聴かせるバラード曲から、Ben Folds Fiveを彷彿とさせるようなピアノ・ロックまで、かなり幅広い。Beatlesの「Get Back」のカバーまで披露し、豪雨に濡れてすっかり冷えた身体を温めてくれた。
最後にはマイクを倒してピアノから転げ落ちるという、YOSHIKIさん的パフォーマンスまで!ただのイケメン・シンガーでは到底終わりそうにない、シンガーおよびパフォーマーとしての素質を垣間見ることができたステージだった。
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