初ものづくしの〆
カイトというバンドがメディアで語られるときに、常套句のようにつかわれるのが「Mew、Sigur Ros、Mogwaiを髣髴とさせるサウンド」や「ポスト・シガーロス」とか「M83・ミーツ・シガーロス」などの表現の仕方。でも、彼らを観て思ったのは、ストレートなロックバンドだということ。
メンバーの脱退により、3人編成となったカイト。心機一転をはかり、初のアメリアでのレコーディング、レーベルの移籍を敢行。そして昨年、新体制になってから初のアルバムリリースした。その初もの尽くしの〆として選ばれたのが、フジロック・フェスティバルへの初出演である。
前日のレッドマーキーはずっとハウリングしており、曲の大事なところで音がキーンとなって台無しになってしまうなんてことが多々あった。本日のプリシラ・アンのときにも、同じようなことが起こっていたので、はやく安定した音になってほしいのだが、カイトのときはそのような問題はおきず、全編を通して彼らの表現したい世界観が構成されていた。
ライヴはサポートメンバーを入れておこなっており、メンバーが脱退したからといってミニマムなサウンドになっている、なんてことはない。むしろ、音源で聴くような繊細な音ではなくドンドンと前に出てくるような、楽器ひとつひとつがしっかりと主張したものとなっている。もし、カイトのことをまったく知らない人がこのライヴを観たとしたら、「シガーロス」や「モグワイ」なんてバンド名を連想することはないはずだ。
彼らの代表曲である“Sunlight”もロックアンセムとして鳴っており、昔からのファンは彼らが新しい一歩を踏み出したということを確認できる、また、初めて観たオーディエンスにとってはロックバンドとしてのカイトをイメージ付けることに成功したはずだ。多くの曲でヴォーカルのトム・ロウが手拍子をオーディエンスにうながしていたが、後ろからみていると、みなが一斉に手を上げて手拍子をする絵は本当に綺麗だった。
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