豪雨さえ味方につけた進行形のFOALSがここに
フジロックあるある、そのひとつが音源しかチェックできていないことが多々ある海外のバンドの名前をグリーンに発見し、「え?いい曲は多いけど、そのキャパOKなんですか?」と驚くことが少なくない。が!そこはライブ重視のブッキングで数多の出会いを生んできたフジロック。この日のFOALSは嬉しい裏切りとも言えるスケール感のステージングで、この日最強のフジロックあるあるを体験させてくれた。
以前からのファンは今年リリースのアルバム『ホーリー・ファイア』のスケール感に少々のとまどいを持ったと思う。インディー感たっぷりでむやみな盛り上げを潔しとしないポップネスを愛してやまないファンが多数派だった。だが、いつの間にかFOALSは狭義のUK
ロックシーンを飛び出し、まるでUSインディやラウドロック的なスタジアムサウンドをライブでも構築していたのだから驚きだ。
あいにくの豪雨、不穏な色彩の空模様さえ演出として味方にしてしまったほど、今日のステージはドラマティック。ニューアルバムの中でもわかりやすくそのダイナミズムをアレンジにも反映した゛Inhaler゛がグリーンいっぱいに響き渡る。チープなシンセを用いながらも数多のシンセポップとはベクトルの違う膨張するサウンドの際限のなさは、このスケールにこそ映える。バンドそのものの音楽的な筋力アップも目を見張るものがあるが、そこでただマッチョなバンドにシフトするワケではなく、当初の持ち味である捻れたシンセポップが生まれたエッジーなセンスも現在の大きなグルーヴの中で聴かせるという、楽曲の進化はこの日のライブでも゛My Number゛で明らかになった。
人間力やキャラクターの部分でも、豪雨の中で盛り上がってくれたファンに対してヤニスはステージを降りてギターを弾くなど、バンドそのものが器を大きくしている様子がサウンドの変化とともにごく自然に見てとれたのもライブならではの光景。反復するフレーズと
プリミティヴなビートが今や祝祭的なほどタフなものになったラストの゛TWO STEPS TWICE゛で止まることのないダンスをヒートアップさせるファン、そして客観的に見ていたクラウドどちらも、FOALSのニューフェイズを目の当たりにした1時間だったはず。これだからフジのグリーンに登場するバンド/アーティストのチョイスはやっぱり必然に満ちているなと思い知った1時間でもあった。
MORE
-
ライブレポート
TAKKYU ISHINO
オーラス
Posted on 2013/07/29 05:25 -
ライブレポート
Jason Mayall, The Cumbia Kid
Posted on 2013/07/29 05:00 -
ライブレポート
紫ベビードール with JVC FORCE TYO
Posted on 2013/07/29 04:00 -
ライブレポート
SUGIURUMN
Posted on 2013/07/29 03:40 -
ライブレポート
Big Willie’s Burlesque presents Mambo Loco
Posted on 2013/07/29 03:30 -
ライブレポート
音の旅crew
名は体を表す、30分間の音の旅
Posted on 2013/07/29 03:30