レイニーシティ・苗場
昨日はルート17・ロックンロール・オーケストラでグリーン・ステージに登場した元ザ・ルースターズのギタリスト、花田裕之。今日は同じく元ザ・ルースターズのベース、井上富雄、布袋寅泰やUAと共演経験をもつドラマーである椎野恭一、アート系ロックバンド、マグノリアのギタリスト、大西ツルとのバンド、band HANADAでジプシー・アバロンに登場した。
昼過ぎから降り続けている雨は一向にやむ気配がない。ジプシー・アバロンに集まったオーディエンスも、「雨は降っていて当たり前」という感じでくつろいでいたが、定刻より早くband HANADAがステージに登場すると、ざわざわと人が集まり、ステージ前に人だかりができた。
花田が愛用のギブソンES-335を手にして演奏した1曲目は「サッドネス・シティ」だ。この曲では、「サッドネス・シティ」というところを「レイニー・シティ、レイニー・ナエバ」と替えて、フジロック2013バージョンを披露してくれた。その後の「Talking’ about you」と「ひとつ」のギターソロでは、花田と大西がそれぞれステージ前方まで出てきて、雨に濡れながらゴリゴリのギターソロを見せてくれた。
band HANADAは常にレベルの高い演奏を見せてくれるのだが、今日のステージはいつもより良い意味で力が入っていた。枯れた声でラフに歌う花田も、普段より少しだけ声に力が入っていたし、井上のベースもグルーヴ感が増していたように思えた。やはりフジロックという特別な舞台は、彼らにとっても特別な意味を持っているのかもしれない。
また今日のステージでは、ドラムの椎野恭一とギターの大西ツルの存在が特に際立っていた。「freewheelin’」でのローリング感にとって、大西のスライドギターは不可欠だし、「rollin’ on」の力強いリズムは椎野恭一ならではのものだろう。椎野は笑みをこぼしながらドラムを叩き、大西は「どや顔」でギターソロを決める。二人とも本当に楽しそうに演奏しているのがとても良く伝わってきた。この二人の存在のおかげで、花田の別バンド、ロックンロール・ジプシーズとは明らかに異なるグルーブを感じさせてくれた。
いつも通り、ほとんどなにもしゃべらないで淡々と曲を重ねてゆくこのバンド。ここ苗場のいつもとは違う雰囲気での演奏に、オーディエンスも大満足顔で、雨の中それぞれの道を歩いて去っていった。
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