人懐こさが素敵な大所帯バンド
ほとんどのオーディエンスがビョーク詣でをしているあいだ、アヴァロンはまるで朝の太陽に満たされているような音楽が鳴っていた。その名をセンカヲス。ギター、ベース、ドラム、キーボード、紅一点のパーカッションで構成される彼らはジャズフュージョン的なコード感やインストジャムバンドのスキルを兼ね備えながら、同時に人懐こいサウンドが新鮮だった。
冷気漂うアヴァロンで「これ、起き抜けに聴いたら気持ちいいよな、絶対」と思わせる演奏そのものがまず素敵。疲れた身体を音楽はホントに癒すことを実感しつつ、ソロからハーモニクス、コードまで達者なギターに唸っていると、この人(大島武宜)歌も素晴らしい。ちょっとハナレグミにも似た、耳に残る声が歌モノも織り交ぜることのできるバンドの強みになっている。特に曲名を”シンパシー”と紹介されたナンバーは、声を音として使うボーカル・スタイルや、スペイシーな人力ハウス的な展開が、ごくごくポップに始まるメインテーマからは想像できない飛翔っぷりで、1曲で旅した気分。しかもそこに全然、いい意味でアカデミックないやらしさがないのがまた素敵。
この5月にはクラムボンやSPECIAL OTHERSを手がけるエンジニアの星野誠氏を迎えた渾身のスタジオ・セッション一発録りアルバム『Seed』もリリースされているということで、とたんに気になるバンドに自分内急上昇したのでした。
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