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Posted on 2013/07/27 19:50
  • ライブレポート
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MANNISH BOYS

今年のMBは演奏そのものがメッセージ

 一昨年のホワイトでは斉藤和義のソロに中村達也らが参加した形だったワケだが、あの当時の斉藤の行動力は半端なかった。しかし、その時々の思いをメジャーアーティストとしてはちょっとやりにくかろうことでも、彼はずっと当たり前のように歌にしてきただけだ。あれから2年。さすがに”ずっと嘘だった”が世の中に流れたときのような共振は、残念ながら色あせてしまった。当時、あの歌で拳をあげる気になれなかった人のいるだろう。自分自身もそうだった。でも、そこで考えこんでしまうことが必ずしも事態を良く考えていることとイコールじゃないのもまた事実。それに引きかえ、二人はMANNISH BOYSとして破格に自由なアルバムを作り、今年はシングルまでリリースした。

 豪雨が去ったホワイトはさすがに冷えて、暴れたい気分のファンが待ち構える中、新調したお揃いのボーリングシャツ着用で斉藤、中村が登場。斉藤の太いギターサウンドと達也のゴキゲンな爆音と、ただただ「マニッシュボーイ!」を連呼するだけの゛MANNISH BOYSのテーマ゛にしろ、ひたすらサビで「ニケツ!」を連呼する゛あいされたいやつらのひとりごと〜青春名古屋篇〜゛にしろ、「日本にはこんなにスキルは高いのにいかれたアラフィフ・ロッカーがいるんだぜ」と、意味もなく自慢気な気持ちになるのは自分だけだろうか。歌詞の内容がバカバカしいほどそんな気分になる。なってない政権批判(作った頃はどこが与党だったか…)などなど悪態つきまくりの゛DIRTY BUNNY゛、堀江博久がエレキで加わり、斉藤はアコギで16ビートを獰猛なまでに刻む゛Dark is easy゛も、決して曲紹介はしないけれど、過日の選挙や今の状況を思うと一緒に声を上げたくなるナンバーだ。斉藤の
「イェ〜イ、こんばんわ〜。雨ガッパっていろいろあるんだね〜」という脱力MC以外、ほとんどMCらしいMCもなく50分を激走したライブは、音と演奏にすべてを託している印象。

 ベースレスの隙間の多いサウンドも、むしろ達也の凄まじい馬力のエンジンの如きドラミングをむしろ目立たせ、ふたりだけのスリルに軍配が上がるのだが、エレクトロでダビーなテイストを堀江が加えることによって、イマジネーションが広がる達也の朗読ナンバーは映画並みの世界観をホワイト全体に広げていく。そしてこれまでのMANNISH BOYSとは趣きの異なるシュールで哀愁も漂う新曲゛天使とサボテン゛の詩情は、破天荒で言いたい放題がトレードマークのMANNISH BOYS以降を感じさせ、当然のことではあるが、斉藤和義と中村達也という稀代のロックミュージシャンかつ、実はとってもフリーキーな表現者による比較的、恒常的なプロジェクトになったことを印象づけた。

 まぁしっかし、ギターやドラムという楽器もプレーヤー次第ではこんなにアーティスティックな何かを作れるんだなということをMANNISH BOYSを見るたび思う。そう。バンドの絶対人数なんかないんだから、自分も楽器をやってみたい、そして音と鳴らしたい!と思わせてくれることが最高のメッセージなのかもしれない。

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