「ダンスミュージック」のイロハがつまったバイアーナシステム
小ぶりのギターのような、4本の弦が張られた楽器「ギターハ・バイアーナ」をメインに、打ちこみとビジュアルで攻め立てていたのがバイアーナシステム。名前の由来はブラジルの「バイーア地方」からきている。
いくらかのオーディエンスは、直前のマーク・アーネスタス・プレゼンツ・ジェリ・ジェリ終了直後に配布されていた「万年筆」のようなデザインのお面を身につけて、バイアーナシステムの「システム」の一部となっていた。
ビョークの裏ということで、例年の土曜日のオレンジとしては人影はまばらだったが、コアな「ワールドミュージック好き」は彼らをリストから外さなかった。前日の苗場食堂の出演では、日高大将が体を揺らしていたという目撃談もあるし、バイアーナシステムからのフェルミン・ムグルザ・コントラカンチャという流れは、ビョークに対抗できうる奥地ワールド系の切り札的存在だったのだろう。
ヴィジュアルイメージは水色を基調に、バイアーナや、ウーハーのシルエットが踊る。中南米やカリブの島々、アフリカなどが渾然一体となっている。タテノリのリズムと打ち込みに絡んでゆくパーカスの乱打に、レゲエディージェイのような節回しをもったポルトガル語が乗り、泣きのギターならぬ泣きのバイアーナが空気を切り裂く。音の角を丸め込むダブ処理も陶酔感をこちらにもたらしていた。
全体から漂うのは、さまざまな血が混じったストリートの匂い。彼らの音は、ミクスチャーが勃発した時のような新しさを伴っていた。ブラジルの音楽シーンにもたらした勢いそのままに、フジロックを駆け抜けたバイアーナシステム。体験してしばらく、まだその余韻は抜けない。
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