• HOME
  • CONTACT
Posted on 2013/07/27 21:50
  • ライブレポート
  • TAGS: /

BJORK

苗場の自然と調和する、美しく力強い歌声

「2003年、超えたね」「小っちゃくってかわいかった」「やばい、きた」フジロック二日目、夜10時ころのグリーン・ステージ。今日のヘッドライナー、ビョークのステージが終わり、会場を後にする人たちの口から出た言葉のいくつかだ。

その日は昼過ぎから雨が降り続け、夕方の6時を過ぎるころまで土砂降りが続いた。今年のフジロックにはビョークを見るために来た人も多かったのではないだろうか。「ビョークのステージの間だけでもいい。頼むから雨よ止んでくれ!」そんなフジロッカーたちの心の叫びがあちこちから聞こえてきた。彼女のステージ、彼女の世界を体験するには満点の星空がふさわしい。

そんな思いが届いたのか、ステージが始まるころには雨は止み、開演が予定されていた8時にはすでにグリーンステージの会場、奥のほうまで人で埋め尽くされていた。定刻を15分ほど過ぎたあたりで、14人のコーラス隊「グラデュアレ・ノビリ(Graduale Nobili)」が登場し、続いてドラムのマヌ・デラゴ(Manu Delago)とプロデューサーでもありプログラマーでもあるマット・ロバートソン(Matt Robertson)も登場。そしてついにビョークがステージにあらわれた。

1曲目の「コスモゴニー」では、美しいコーラスに支えられてビョークの伸びのある声が会場の隅々までに届いてゆく。次の「ハンター」では、大きなグリーン・ステージの上を駆け回るビョークがいる。そして3曲目の「サンダーボルト」では、ステージの上空に一対の「テスラコイル」が降りてきて、本物の稲妻が走る音をベースにしている。

「ムーン」「クリスタライン」「ホロウ」と『バイオフィリア』からの曲が続いた後に、「ヒドゥン・プレイス」「エアルーム」と『ヴェスパタイン』の曲も披露。そして、「ワン・デイ」ではティンパンに似た幻想的な音が夜の空に静かに消えてゆく。そして次の「ヨーガ」では映像、コーラス、ビョークの歌声の調和が神秘的な雰囲気に包まれた。

「ペーガン・ポエトリー」のあとに再びテスラコイルが登場し、「アーミー・オブ・ミー」へと突入。手を上に突き上げての大合唱となる。曲が終わると必ず「アリガト!」と感謝するビョーク。これに会場も「ありがとう!」と応えていた。

5枚の巨大なLCDパネルに映し出される映像を見ていると、ステージと自分の距離がとても近く感じる。そして、とても近くにあるステージの上で、小さなビョークが飛び跳ねている、そんな不思議な錯覚におちいる。そんな感覚を一番強く感じたのは「ミューチュアル・コア」だった。

そこから一転してダンサブルなアレンジの「ハイパーバラッド」のイントロが流れると、会場中から歓声が上がった。「プルートゥ」「ナトゥラ」と会場がダンスフロアとなったところでビョークはいったんステージを後にした。

会場中のアンコールにこたえて、グラデュアレ・ノビリが「オスカースタイナー(Oskasteinar)」を合唱。その後にステージに戻ってきたビョークは、メンバー紹介をし、最後に「日本から」といってオーディエンスのほうに手を伸ばしてくれた。

「もう一曲やるから、みんなも歌って。カラオケイコウ!」といって、「デクレア・インディペンデンス」を熱唱。恒例の掛け声「ハイヤー、ハイヤー(もっと高く)!」で会場が大きく揺れた。曲が終わっても合唱は続き、ビョークは「ハイヤー、ハイヤー!今夜はどうもありがとう!」といってステージを後にした。

その圧倒的な存在感と美しく力強い歌声をこの大自然のなか、グリーン・ステージで見せつけてくれたビョーク。今夜の出来事は、この場にいたすべての人の心に強く焼きついたのではないだろうか。

SAME CATEGORY MORE

PAGE TOP