レベルミュージックの神髄
昨日はクリスタル・パレス・テントを大いに盛り上げてくれたフェルミン・ムグルサ・コントラカンチャーが、本日のオレンジコートのトリとして登場だ。まだ開演予定時刻前ではあったが、時間帯がかぶっているビョークに観客を取られているからか人が異様に少ない。
ステージが暗転し、DJが盤をこすればギター、ベース、ドラムの基本セットにアコーディオン、トロンボーン、サックス、トランペットのホーン隊がステージに登場し、ジャムしはじめた。しばらくのジャムセッションの後に満を持してはっぴ姿でキメたフェルミン・ムグルサが、クラウドの大歓声とともに現れた。開演とともに観客がオレンジコートにどんどん集まってきて、ステージ前方のフロアは埋まっていった。
アコーディオンが陽気に鳴り響く「Mongolian Barbecue」でクラウドはとにかく踊りまくる。フェルミンが日本語で「盛り上がってー!」と叫ぶと「In-komunikazioa」になだれ込んだ。フロアにスカダンスの嵐が巻き起こる。その後も「Euskal Herria Jamaika Clash」、「Shoot The Singer」、「Etxerat!」、トゥーツ&メイタルズのカバー「54-46」、「Yalah, Yalah, Ramallah!」、「Zuloak Riot」などライヴ受け間違いなしの楽曲群を披露し、ガンガンフロアの熱を上げていく。
個人的な今夜のセットリストのハイライトはボブ・マーリー・アンド・ザ・ウェイラーズの名曲「Lively Up Yourself」だ。ボブの曲はいつ聴いても涙腺がゆるんでしまう。しかも、『African Herbsman』バージョンのアレンジなのが実に嬉しかった(入りのリフだけは『Natty Dread』バージョン)。会場のみんなが歓喜の表情を浮かべて踊り狂っていた。
ラストは軽快なスカチューン「Sarri Sarri」で、会場のみんなでスカダンス&モッシュをして最高に楽しい笑顔満載のステージを締めくくった。フェルミンはバスクの独立問題や、グローバリズムや資本主義に対する批判といったメッセージを発するレベルアーティストだ。だが今夜のライヴを観て、彼の主張(音楽)の中には”みんなをピースフルに楽しく踊らせたい”というフェルミンの思いが流れているように感じた。それこそ、ボブ・マーリーやジョー・ストラマーといった伝説のレベルミュージックの先駆者たちから連綿と受け継がれる神髄というものなのかもしれない。本当に素晴らしいライヴだった。
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