苗場で見せた浅草ロック魂
雨が続く、土曜の夕方。ヘブンへ向かう人で混雑しているボードウォークで奥地にあるカフェ・ド。パリへと向かう。一時、土砂降りにもなったせいもあり、オレンジコートの土手はぬかるみが激しく長靴を履いていても通るのがおっくな状況。果たして奥地にどれだけ人がいるのだろうか、そんな懸念をいだきながらカフェ・ド・パリに着くと、入り口までお客さんが溢れていた。
中に入ると、雨宿りする人、休憩する人、これからライブを見ようという人でごった返している。ステージ前方でも休憩モード全開のお客さんがいる中ライブが始まると、フェスティバルなんだぜ、もっと楽しもう!と言わんばかりに賑やかなホーンの音がカフェ・ド・パリに響きわたる。スカのリズムに合わせたウッドベースの低音とトランペットの軽快な高音で、空気は一気にお祭りムードへと変わっていった。
カフェ・ド・パリでASAKUSA JINTA、と聞くとなんだかチグハグな感じもするが、ミラーボールが回る空間で昭和の匂いが漂うスカが見事バチっとはまっている。それは、彼らのパフォーマンスがそれだけ魅力的だからではないだろうか。最初は座っていたお客さんも、曲が進むにつれて次々とお祭りに参加し始めた。ASAKUSA JINTAは、その場にいる人のハートをつかむパワーを確実に持っている。その証明として、新曲を披露した際、それまでで一番多くのお客さんが手を挙げリズムにのっていたように思う。
ライブが後半にさしかかった時、思いがけない事実をMCで知らされることになった。ボーカルを務めるリーダーの和尚が骨を折っているのだという。しかも、その数なんと7本。これを聞いた途端、目頭が熱くなる。そんなことは微塵も感じさせないほど引き込まれるステージを披露してくれていたからだ。
去年の朝霧JAMに続き、今年のフジロックと、会場の奥地を賑わせている彼らだが、もう奥ではなく手前に出るべきバンドであることは間違いない。
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