ウィルコ・ジョンソンへとバトンを渡す喜び
パレスに入ったときに、ドクター・イハラ氏に会い、開口一番、「ウィルコに挨拶してきたよ。元気そうだった!」と言っていた。
ドクターの出番はウィルコの前。想いのたけやリスペクトをこめてスピンしているのはその表情からはっきりと伝わってくる。彼はプロ根性とファン心理が同居する男なのだと思う。フジロックが好きで、DJとして顔もありながら、お客さんとしてもこの3/365の日々を誰よりも楽しんでいる。
スタンダードな曲ばかりではなく、一歩踏み込んでマニアックな選曲をするのが彼の特徴。もちろんここぞという時には皆が口ずさえる曲を織り込んでくる。
イハラの中には「自分がウィルコへとバトンを渡す」という覚悟と喜びが入り交じった感覚が生まれたはずだ。今日のことが鮮やかな記憶として残るのは間違いない。DJが終わればイハラは即座にオーディエンスへとスタンスを変える。おそらくは、パレステントのフロアで、ウィルコの機関銃に打ち抜かれたに違いない。
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