オン・ザ・ロードの叩きあげ、遂にフジロック登場!
ニューオーリンズのセカンドラインファンク(葬式の帰りの際、賑やかに演奏をして死者を天へと送り出したことから始まったスタイル)を伝える、ホット・エイト・ブラス・バンド(以下ホット8)がついに来日し、しかもフジロック…昔を知る者としてこれほど嬉しいことはない。
思い起こせば2006年のSXSW、路上に空き缶を置き、バスカー(路上パフォーマンス)をしていたのが彼ら。その時に、「日本で演奏したいんだけれども、どうしたらいい?」との言葉と、名刺をもらっていた。当時から実力は折り紙つきだったが、こちらが協力しようとしても術がなかったこともあって、感慨無量である。
ビョーク終了後に流れ込んできたオーディエンスを巻き込み、ニューオーリンズをクリスタル・パレスでぶっかます。ホーンの朝顔の先から息吹が放たれると、オーディエンスは熱狂し、床はグワングワンと揺れていった。
あいの手は多めで、ヒップホップのフックなどを取り込んでロック(揺さぶる)させている。カバーも多彩で、マーヴィン・ゲイの”セクシャル・ヒーリング”のみならず、ザ・スペシャルズの”ゴースト・タウン”をスカ(といってもネオスカ)からジャズに逆輸入させている。
スカは元々、ジャマイカのホテルお抱えオーケストラ(後にスカタライツなどのバンドへと変化していく)がジャズの要素を裏打ちにして生み出したもの。ジャズの本場から送り届けられたスカ・シーンに対するリスペクトは、元来フジロッカーズの中でもスカ好きがたむろすクリスタル・パレスをひっくり返さんばかりの熱狂をもたらし、ジャズとスカが、ジャンルを超えたひとつなぎの音楽ということを教えてくれていた。
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