圧倒的説得力の音たち

フィールド・オブ・ヘブンの舞台に立った、大柄な男たち。だがしかし、でっかいのは体躯だけではない。ザ・ホット ８ ブラス・バンドのファットな出音が、円形にかたどられたヘブンの地面を揺らした。

「拳を上げてこう！」という声に呼応する形で上がるオーディエンスの腕も自然な流れ。一曲目から”Smoke On The Water”のフレーズを織り交ぜた楽曲でロックへのコンタクトを垣間見せ、そのままニューオーリンズ直輸入のマーチテンポと分厚いホーンの音色が薄曇りの天気を吹き飛ばさんばかりで押し寄せてくる。与えうる反応はまさに彼らの曲”Move Your Body”の言葉そのままだ。「Move Yo’body Wake Yo’body！」の掛け声に体が左に右に揺れていく。

ブラスバンドという一ジャンルに終始しながらも、街を練り歩きながら人びとをその音に連れてこさせた実績がものいうパフォーマンスの心地よさ。スヌープの”Who Am I? (What’s My Name)”のブラスバンドアレンジでは、たとえオリジナルを知らなくてもあの女性コーラスを口ずさまずにはいられない「参加したくなる」アンサンブルを展開。途中アルコールを注入しなければならなくなるほどの享楽空間で盛り上げてくれ、複数回ある彼らのショウのひとつ、このヘブンのそれも大成功に終わった。