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Posted on 2013/07/28 14:50
  • ライブレポート
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WILKO JOHNSON

この人を見よ

14時にライヴがスタートと聞いていた。そのため5分前くらいの時点で、まだ作業場にいたらグリーンステージの方からいきなり「オール・スルー・ザ・シティ」が始まったのでリハーサルなのかなと思ったら、立て続けに演奏されていたので本編に入っていったということを悟る。慌ててグリーンステージにいくと、かなりの人がいてウィルコ・ジョンソンのステージを見守っていた。

さっきまで雨が降っていたのだけど、太陽が顔を出すという苗場の天候だった。まるでウィルコ・ジョンソンには雨を降らせないかのような意志を感じさせる。ステージには楽器と3人のメンバーしかいないシンプルなもの。背後に垂れ幕もLEDスクリーンもない。そうした舞台の方がよりウィルコを際立たせているのではないか。グリーンステージにいる、おれの推計による約2万人の眼はウィルコだけをみているのだから。

ウィルコ・ジョンソンはいつものウィルコ・ジョンソンだった。独特のカクカクした動き、ギターをマシンガンに見立てて客席に向けるお決まりのポーズ、ピックなしで激しくギターをかき鳴らし、硬質なリフをガンガン刻んでいく、いつものウィルコだ。思った以上にグリーンステージにはお客さんがいて、放たれる音に合わせて踊っている。ウィルコには自由にやらせてベースのノーマン・ワットロイとドラムのディラン・ハウがしっかりと引き締めている感じなので、ちょっとズレてもすぐにピッタリ合わせてくる。

だけど、演奏がとか、選曲がどうとかいうレベルじゃないでしょう。この人間国宝というべきひとりのロックンローラーが全身全霊をかけてロックする、その生きた奇跡を目の当たりにできる、それだけで感謝すべきだし、その姿に触れている幸せを噛み締めればいいだけの話なのだから。人間は死と向き合ったときどういう態度を取れるのか、何ができるのか、何をなすべきなのか、そのひとつの高潔な姿を、われわれはみることができたのだ。

「シー・ダズ・イット・ライト」で電流に打たれたかのステージ前では、何人かのダイブが発生していた。たぶんミッシェルガンエレファントあたりからドクター・フィールグッドを教えてもらった世代なんだろう。彼らなりの感謝の意がダイブとなったと思う。そして、ステージを去る3人。当然、アンコールを求める声が大きく上がる。そして再びウィルコはギターを手にして「バイ・バイ・ジョニー」。曲に合わせて手を振るウィルコをみてお客さんたちも一斉に手を振る。だけど、さよならじゃないだろ、だってあのオッサンあんなに元気なんだぜ。来年のフジロックだって来るかもしれないじゃないか。

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