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Posted on 2013/07/28 13:20
  • ライブレポート
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YO LA TENGO

ノイズとのかくれんぼ

今日は一体どんな天気なんだ。スカッと晴れたと思えば、一瞬で空が泣き顔になる。それぞれ目の前で繰り広げられているアーティストの一挙手一投足を追うだけでも精一杯なのに、この3日間は空のご機嫌もうかがわなければならいのだ。

ドライブ感のあるタイトなドラムに、アイラの弾く苗場の青空へ解き放たれたギターのリフで始まる”Stupid Things”で幕が開けた。年明けにリリースされたアルバム『Fade』の曲で、これまでのYo La Tengoの曲たちとピタっと寄り添っている。続けて”Stockholm Syndrom”と新旧が織り混ざった、Yo La tengoの歴史をいっしょに歩んで来たファンも、新しく魅了された人とも共有ができるバランスのいいセットで進んでいった。

「フジロックに戻ってこられて嬉しいよ。ウィルコ・ジョンソンやキュアと同じステージに立てるなんて光栄なことだよ」と、アイラが挨拶代わりに話し始めた。これほどキャリアの長いアーティストにとっても、こういう思いでステージに立っていること自体が感慨深い。

曲を終えるごとに、ジェームズとジョージアが楽器を持ち替える。3人全員、ボーカルを取ることができるのだけれど、変わらないドリーミーさと、相反する内に秘めた凶暴な部分が、時としてノイズとしていたずらを仕掛けてくる。ギターをかざし、ステージに振り下ろすのかと思えば、不安定に支えられたギターの揺れで、歪んだ音が広がる。ベースとギターが3音を規則正しく刻むこと10分ほど、アイラが形として見えないノイズを手探りで探し当てるかのように。ノイズよどこにいるんだい…とばかりに、ノイズとのかくれんぼは続き、果てはステージの床すれすれまでさげてみたり、マイクで歌いたいのか、マイクをピックとしてギターの弦にこすりつけてはノイズを探しとだんだんエスカレートし、誰も止めることのできないノイズまみれのサウンドがグリーンステージを駆け巡った。

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