全方位音楽!エゴラッピン!
EGO-WAPPIN’3年ぶりのフジロックはレッドマーキーのトリでの登場。どんなバンドがフジ的か?という定義はもちろんないけれど、この日の選曲と演奏の振り幅やジャンルの消化・吸収のテンションを見るにつけ、彼女たちほどフジロック的なバンドはいないんじゃないか?と思ってしまった。そのおのおのが究められていながら、ジャズ、ロック、ヒップホップ、ソウル、ニューウェーヴなどなど…そう!なんとこの日のセットリストにはピート・シェリーの゛テレフォン・オペレーター゛のカバーという、ちょうどグリーンステージではキュアーがヘッドライナーを務めていることを考えると、それがもし偶然でも、
中納良恵と森雅樹という、コアなミュージックラバーなふたりなら考えなくもない動機かな?と勘ぐってみたくもなる。
エゴといえばジャズのノワールな匂いのするスカがバンドイメージとしてあるし、幕開けの゛BRAND NEW DAYS゛は「まだまだ遊びたりない!」といった顔つきのフジロッカーズに着火するには最強のテイストではある。でも、それが1時間のフェスのセットリストでも、ただアゲるためだけの曲を連発するなんてことは彼女たちにはない。手練のGOSSIP OF JAXXが叩きだす乾いたビートや妖しげな色香をまとったグルーヴ。そして中納良恵のエネルギーと閃きの塊のような存在感、そして山をも震わす声!
今さらポストロックでもないのだが、エゴ流のオルタナティヴなロック魂が高次元で結晶した新作『steal person’s heart』の独自性はライブでもブレない。新旧織り交ぜてはいるが、映画を1本見たような゛love scene゛のような感覚に訴えるナンバーも、軽快さの中にうっすらとシュールな音響が顔を出す゛Sundance゛など、熱狂の中にあってもこの独自の音楽的なレイヤーは唯一無二だと、一瞬、ゾッとするほど覚醒する。
よっちゃん(中納)はタフなエンタテナーっぷりと元気玉っぷりを炸裂させて「雨降ったり止んだり面白かったな。最終日やもん。遊んだか?飲んだか?怒る人おらんし、飲んで踊って!」と果てしないエネルギーで煽る煽る。今回、世界各地からフジロック出演のためにここに集まった、たとえばラテン系のバンドはエゴをどう思うのだろう? まるで自分のことのように「このバンド、最高でしょ?すごくない?」と、みんな(みんなって誰だ…)に見てほしかったぐらい、EGO-WRAPPIN’の至宝ぶりは、今、ますますレベルアップしている。世界を旅したようなダイナミックなライブの大団円はレッドが狂騒のピークを迎える中におなじみ゛くちばしにチェリー゛゛GO ACTION゛の連続投下。それでもやむことのないアンコールに応えての染みる゛A Love Song゛の美しさは、何かきれいな水と風があふれるこの場所のようなやさしさに満ちていた。明日からの毎日もどうか、そのパワーとやさしさを忘れずになんとかやって
行きたいね、レッドをあとにする皆の顔からそんなことを想像したのだった。
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