エチオピアン・ジャズの父、オレンジコートに降臨
ひとつ前のジャザノヴァが終わった直後にオレンジコートに着いたのだけど、あまりの混雑ぶりに驚いた。そこから半分くらいの人が残っただろうか、また新たなお客さんも来ただろうから、オレンジコートはかなりの賑わいをみせていた。ムラトゥ・アスタトゥケが始まるころには雨は止んでいたけど、先程の豪雨はオレンジコートは例によって田んぼ状態。向こうの山から霧が降りてきそうな夕方である。
ステージに目をやると、ステージ下手からトランペット、サックス、ヴィブラフォンなど、パーカッションが一列目、ピアノ、チェロ、ウッドベース、ドラムセットが二列目に置かれている。先にムラトゥ以外のメンバーがそれぞれの持ち場につき、あとからムラトゥが紹介を受けてやってくるというファンキーなバンドの様式美である。メンバーの半数以上が白人だった。
ムラトゥ・アスタトゥケは、エチオピア出身で、エチオピアン・ジャズの父と呼ばれる。管楽器やピアノはジャズマナーに則ったもの。リズムセクションも基本はジャズだけど、ファンキーさも感じさせる。そこにムラトゥのヴィブラフォンが奏でられるとクールに洗練されたおしゃれな音楽としても聴ける。管楽器のメロディには演歌ぽい懐かしさを感じさせるところもあるし、もちろん、アフリカの大地から響いてくるようなパーカッシブな要素も当然ある。いろんな音楽を越境していく。replicas relojes
ジム・ジャームッシュ監督の映画『ブロークン・フラワーズ』からの曲も演奏されつつ、各メンバーにソロコーナーを持たせて、結局1時間10分の持ち時間でほぼ全員のソロを観ることができた。また、ムラトゥのボンゴ・ソロの時間にはメンバーたちは楽器をおいてステージ前まで出てきて、大きく手拍子をしてお客さんにも手拍子を求める。そこから他の打楽器も加わり、さらに合奏に戻るという展開で盛り上がりをみせる。自分は今回のフジで初めて知った者だけど、想像以上に洗練されているし、踊れるし、オレンジコートに来ているお客さんも多いので、フジロッカーにも注目された存在であるのだなと実感した。
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